2015年1月31日土曜日

008 イチハラ会「嘘吐きたちの晩餐」

嘘吐きたちの晩餐、前後を描いている。
タイトルそのままの(いい意味で言っている)展開に
作演の性格が見えてくるような作品。

優しい嘘もあれば、傷つける嘘もあると思うし、
確かに日常的に嘘をついてしまうということは正直ある。
元気ないのに元気とかね。

この作品ではこうであってほしいという願望の様なものも感じた。
どんな嘘でも、それが相手にばれた時に、その相手がどうでるかに
よってくるし、ばれるタイミングや場面があって、良きにも悪しきにも流れる。

完璧な人間なんてありえないし、いたら気持ちが悪い。
笑ってすっとばす人間らしさもあると思う。
重たい話なのかもしれないのに、軽い気持ちになった。

イチハラ会主宰の櫟原さんは東京に行くとのこと。
また帰ってきて、嘘や毒を吐いてほしいと思う。

2015年1月25日日曜日

007 彗星マジック「ポストグラフ」(2回)

新印象派として有名な画家たちの物語。
事実と想像の入り混じったファンタジーで
彗星マジックしかできないものを創り出している。

それは絶望と希望、悲しみと喜び、怒りと幸せ。
音響、照明、衣装、美術、どれをとっても必要最低限なもので
時に優しく時に厳しく観ている私たちを引き込んでいってくれる。

物語はもちろんあるんだけど、誰が主役とかキーパーソンだとか関係ない。
ただただそこに生きている人が描かれている。
きっとそうだったんだろうなと目の前で手の届く距離で紡がれる。
役者みなさん素敵でしたが、印象的に残ったのは耽美さんと竹田さんでした。

お嬢さまと召使いの物語。
一緒に住む画家たちの物語。
背景に潜む政治的国の物語。

僕は美術に疎いほうで、ゴッホだとかゴーギャンだとか名前は知っていても
作品はそれこそ「ひまわり」位しか知らない。
一緒に観に行った人が、美術には僕よりも知っていて、観劇後色々教えてもらった。
耳切っちゃったんだ。ああやって死んじゃったんだね。実は男なのに女だったとか。
まぁ知っていても知らなくても伝わるものを作ってくれているので安心。

演劇は生で観るもんだと誰彼も言うけれど、DVDで見たって、そう変わらないんじゃないか
そんな演劇は存在するし、生だろうがDVDだろうが面白くないものは面白くない。
彗星マジックの舞台は必ず生で観てほしい。絶対だ。

彗星マジックを愛してやまないのは、絶妙な具合で物語にのめり込ませる要素が
多分に含まれているからだと思う。知らなくても問題ないけど、後で調べたくなったり、
想像の余地を常に観客側に与えてくれる心地よさのバランスが最高なんだと思う。

作演の勝山さんの世界が大好きなんだけど、それを体現する役者さんみなさんが
僕は大好きです。彗星マジックが女性だったら、僕は恋をして求婚するだろう。

今作で魅力的なのは、ラストでした。カンバスの前に並んだ画家たちが絵を描き、
描き続けること、生き続けることを提示してくれている、あの絵だ。
この絵、このセリフが観たかった聞きたかったものとして最高の状態で描かれる。

これだから演劇は面白い。また演劇が好きになりました。ありがとうございます。
そして、大好きな舞台が増えました。

2015年1月24日土曜日

006 プロトテアトル「ノクターン」

昨年、前回の公演「狐の声が聞こえてから」を観た後、
まだ学生の人が作ったものだと知った時、
面白いもの作る若手が出てきていると思っていました。

面白いです。いつも感想に面白いしか出てこない自分を
なんとかしたいと思いますが、面白いです。
まるっきり会話劇なのですが、心地よいテンポで話がすすみ、
飽きはじめそうな時にシーンが切り替わり、物語が進行していきます。
役者さんも良いと思いましたし、小道具の使い方も好みでした。

まず会場に入るとPOPなノクターンが流れて?いた?
POPな曲な事は確かです。途中からラジオ放送のような
DJさながらな放送が流れだします。
そして、気づいたら芝居が始まっていました。

大学生の4人が居酒屋らしき場所で思い出を語っています。
中学の頃です。それぞれ甘酸っぱい経験をしたり、
くだらない時間がとても大切な時間だった、そんな頃の会話です。
時々、回想シーンが入る。これが布石となり、物語の深みを増していくのです。

中盤、中だるみは正直言えばありましたし、初日ならではなのかもしれませんが、
緊張感が伝わってきたので、そこはしょうがないのかなぁと思いつつも、
基本的に面白いので、楽しめました。

もっと回数やったらいいのにとか思ってしまう観てほしい作品でした。

プロトテアトルのみなさんは、
これから大学を卒業されても、演劇を続けていってくれるみたいなので、
応援したいと思います。

005 OIL AGE OSAKA 「D・ミリガンの客」

2015年に入って、やっと安心して尚且つ面白い芝居でした。
なにしろ出てくる役者のみなさんが巧みわけです。
脚本も面白い。

初演は東京で行われていたそうです。

D・ミリガンを訪ねてやってくる個性豊かなお客さん。
それぞれD・ミリガンからの手紙を持っている。
話しを聞いているとみんな呼ばれた理由が違う。
果たしてD・ミリガンとは何者なのか、
どうしてビリーブ・ユーという安ホテルで待合せたのか。

動きの少ない会話劇で、演じる役者さんの力と構成力・演出で
ガンガンと観ているこちら側を引き込んでいきます。
美術も素晴らしかったです。芸創でこんな美術がみれるんだと
その点でも嬉しくなっていました。

登場人物それぞれに見せ場の5分一人語りがあるのですが、
僕は中村真利亜さんと最後の早川丈二さんのシーンが好きでした。

他にも、役者さんの所属する劇団名がセリフに顔を出したり、
タバコの使い方も好みで、手紙のシーン、謎が解かれていく見せ方、
上質なお芝居でした。

初日を観に行ったので、正直、見知っている役者さん、まだまだ
あげていけるのではないかと思いますし、その姿を観れないことに
残念さはあります。

004 コミカルパニック「地団駄ダンス」

第1回目の公演というのに惹かれて観に行ったのと、
時間的にちょうど良かったのがこれしかなかったという理由はありますが、
観てきました。

編集者と作家のやり取りを中心に書き上げる3つの作品が舞台化されている
3部作的なコメディでした。

はっきりというと、何が笑えるのか全く分からず、
演じている役者が面白いと思ってやっているのか分からず、
ただただ耐えて観ているだけでした。

面白くないものを観ている時は(これからも似た事が起きますが)、
寝るか他のことに興味を持つことに走るのですが、
寝るほどのことはありませんでしたが、興味をもてる材料もない。

演劇のコメディは積み上げることからの面白さだと思っています。
だいたい芸人がやるシチュエーションコメディのほうが、よっぽど面白いのに
演劇でコメディやるなんていうハードルの高いことによくも挑戦したもんだと
そこには関心します。ごめんなさい皮肉です。

これ以上は毒舌がすぎるので止めますが、次回があるなら、
そこでリベンジしていただきたい作品でした。

003 トリコ・A 「赤ずきんちゃん」

赤ずきんちゃんをモチーフに登場人物たち、みんながオオカミに見えてくる。
作演の山口茜さんの頭の中はどうなっているのだろう。
まるで絵本の中を観ているような美術に登場人物たちが現れる。
コミカルに描かれる登場人物たち、なんか不思議な関係性のずれを感じる。
段々と恐さが沁みてくる。
オオカミだけじゃない、赤ずきんちゃんは誰?と不思議に思えてくる。
オオカミを作りあげたのは、赤ずきんちゃんを作りあげたのは、私たちではないのか。
そういう意味では、気持ちの悪い芝居でしたし、気分を害しもしました。
演者が巧みなだけに余計にそういう気持ちになってしまいました。
ツイッターで絶賛の声を読んではいるのですが、僕には意味が分からなかったのです。
ただただ恐ろしくて、人間は嫌だ嫌だと思って帰ったのでした。

2015年1月11日日曜日

002 劇団バックラッシュハート「ダブリンの鐘つきカビ人間」

後藤ひろひとさんの作ですね。
ファンタジー色の強い作品で好きです。
これをいかに演じきれるのかが勝負だとは思うのですが。
既出の作品を扱うものでいいと思ったことが基本的にないので、
僕の中では最初から満足度のハードルが上がってしまいます。
若い人たち中心なのですかね。演出の大窪さんは10代ということで
鑑みて振り返ってみます。
まじめなAキャスト、おふざけありのBキャストだったのらしいのですが、
分かっておらずBキャストを観ました。
おふざけありらしいのですが、笑いはイマイチ。
観ながら噛まないかな、でとちらないかな、失敗を心配する観劇。
オリジナルを観ていないので、オリジナルを観たいなと思ったのです。
カビ人間の役は山尾さんだと思うのですが(キャスト紹介の用紙がない)、
きゃな子さん、成瀬さんが安心して観れました。
幕を使っていたのですが、必要性は感じませんでしたし、
音をもっと使えばいいのにとか思ってました。
ストーリーに引き込む力はありそうな気がしましたので、
次回があればそちらに期待したいと思います。

001 無名劇団「ざわざわ、ぞわり」

2015年、観劇初めです。
劇団名は聞いていたのですが、日が合わず観に行けてなかったことと、
予定していた演劇が中止になった(楽しみにしていたので残念)ので、
観てきました。

ひと言でいえばTVでやってる2時間サスペンスドラマを生で観た感じです。
違うのは同じセットでシーンの変わらないドラマといったところでしょうか。

チラシにある通り「ある日突然死んだ先生」と関係する女性たちの
それぞれ抱えたもの抱えているものの感情的な会話劇です。
先生が32歳、生徒が25歳だったと思いますが、観た感じだと
先生50歳、生徒32歳といった印象。
展開も読めながら、90分観れたのは、なんとか演じる役者さんで耐えれた
というとこが正直なところ。

ストーリーはありふれたものだということ、
できれば、結論のその先や対決していた女性たちに
好きなだけやりあってもらったらいいのにと、ひねくれてみてました。
照明・音響あまり変化もなく役者の動きも少ない、
あきらせない工夫はまだまだできるのではと思いました。

2015年1月1日木曜日

2014年 観劇ベスト10(ベスト25になっちゃった)

2014年もありがたいことに感動を届けてくれる作品に出会いました。
全ての作品に、関わってくれたみなさんに感謝します。

ベスト10と言いながら、印象に残ったものを10作品選んだといったほうが
いいかと思います。泣いたり、笑ったり、感銘を受けたり、心が動いた作品です。
※サポートスタッフで関わらせていただいたムーンビームマシン「ゲルダ」は、
 ひいき目が入らざるを得ないのではずしています。

2014年観劇114作品の内、印象に残ったものをまず選んでみます。
25作品まで絞れました。私の好みが分かってきますね。
ここからさらに主観中心に10作品を選びます。
そして、25作品に順位をつけてみました。見事、主観だと我ながら思います。

今年は関西以外の劇団やプロデュース作品が多かった印象があるのと
それを好んで観に行ったということはあります。またこれまで観れてこなかった
劇団の作品、特に若い人たちの作品を観に行っています。

2014年ベスト25~11

第25位 モンゴルズシアターカンパニー「BIER-ビア-」

第24位 時間堂[つながる]ツアー2014「衝突と分裂、あるいは融合」

第23位 米山真理一人芝居「monodrama -モノドラマ-」(3回)

第22位 ATNプロデュース「Replay」

第21位 匿名劇壇「二時間に及ぶ交渉の末」(2回)

第20位 STAND FLOWER「よぶ」

第19位 劇団ショウダウン「錆色の瞳、黄金の海」

第18位 オレンヂスタ「白黒つかない」

第17位 KAIKA「gateリターンズ」

第16位 ねをぱぁくプロデュース「Virgin×7」vol.18! iOTRO「オルタ面接」

第15位 イチハラ会「暗闇のもぐら」

第14位 ムーンビームマシン「月雪の娘」

第13位 N-Trance Fish「KISOU本能」

第12位 Project UZU「PANDORA -Op.3 水の章・大地の章-」

第11位 clickclock「キリコの諷景」


2014年ベスト10

第10位 こまち日和「つぐみ荘のブルース」

おばあちゃんの話なんだけど、亡くなった
自分のおじいちゃんを思い浮かべたり、
生のBGMが胸にグッときました。










第9位 FUKAIPRODUCE羽衣「耳のトンネル」

 一人の男と関わってきた女たちの半生を
歌を中心に魅せきってくれました。
 くだらない男というのは絵になります。










第8位 Theatre Polyphonic「musical「タールピット」

 千秋楽に1stで観たのですが、確か2列くらいしか
埋まっていなくて非常に もったいない作品でした。
3人の役者の巧みさと物語の世界観が本当に
素敵でした。









第7位 劇団ショウダウン 「マナナン・マクリルの羅針盤」

 一人芝居として、ここまで表現し感動させる力に感服。
ファンタジー世界は相変わらず好み。
 池袋の大賞がとれたのも納得はいきます。
賞については思うところもありますが、作品として完成度の
高さに毎回驚かされます。
 2015年も再演されますので、観てない方はぜひ観てください。







第6位 TOKYO PLAYERS COLLECTIONライトアイプロデュース「IN HER THIRTIES」

 女性の年代によって、結婚したか結婚しなかったで
2作品作りあげていました。
 特に女性の方にはぐっとくるところがあったのではと
思います。役者の皆さんの等身大さが出ていて、
そこに胸がふるえました。








第5位 浮遊許可証「リーンカーネーション・ティーパーティー」

 坂本さんの創る世界観が基本的に好みで、
現実感がしっかり描かれていると解釈しています。
 リーンカーネーションという響きとそれに合った
物語が印象深い作品です。
 2015年は10周年記念最終公演があります。
誰かと一緒に観て感想を言い合いたい作品ですので、
ぜひ観た後、一緒に語りましょう。






第4位 梅棒「ウチの親父が最強」(2回)

 面白いという噂を聞きつけ、観に行き
見事にリピートしてしまいました。
 元々ダンスやJ-POPが好きな事も
ありますが、見事な構成力だったと思います。





第3位 劇団競泳水着「別れても好きな人 2014」

 再演作品ということなのですが、
30年間の男と女の物語を個性豊かな
登場人物が見事に描かれていました。
過去と今がシンクロするシーンに涙腺崩壊。
 ひねくれた演劇や暗い演劇を観てきて
疲れていた私に純粋な作品を届けてくれました。
 役者のみなさんもここに生きている人たちのように
映って共感MAXに至りました。





第2位 匿名劇壇「ポリアモリー・ラブ・アンド・コメディ」

 平日公演だけでしたが、何で1回しか
観に行けないんだと終演後、悔やんだほどに
第3位とは違う毒の効いた男女の共同生活が
描かれていて、鳥肌が何度も出ました。
 (鳥肌は、私がひきつけられた時によく出ます)
 私が観た2014年の関西小劇場で一番の
作品です。終演後、話したこともない役者の
みなさんに本当に良かったと思わず
言いまくってしまって、さぞ驚かれたことだろうと思います。




第1位 カムヰヤッセン「新説・とりかへばや物語」

 2014年、ずっと1位の作品でした。
 演劇とは魅せるもの、その世界観にはまらせて
さも自分もその一員に入っているかのような感覚。
ウィングフィールドという2時間も座らされた日には
腹が立つのに、二時間余りお尻の痛みも忘れて没頭。
 役者も物語もそこで生きて私の胸に残り続ける。
あぁこういう演劇が観たかったんだ、
と今でも思い出したかのようにDVDを
見直してしまう程の作品です。

2014年演劇をふり返る

2014年の観劇数は114作品でした。
2013年は正確に数えていないのですが、その倍は観たかと思います。
というのも、2014年8月に役者として呼んでいただいて、数が減ったことと
10月からムーンビームマシンのサポートスタッフに関わらせていただいたことで
観劇数が減ったものと思います。
私としては、物足りないくらいでしたが、ちょうど良かったかと思います。

2014年1月~2014年12月まで観た演劇
※同じ作品を2度3度と観た事は数に含んでいません。
 また同じ作品でも場所が変わった作品は含みます。

はじめに

こんにちは。梅田純平と言います。
観劇が好きで、twitter(@YELL_JUN)で感想等を呟いているのですが、
観劇数が多すぎてふりかえりが大変になったことと、
記録を残しておきたい(主に自分のため)ためにブログを始めることとしました。
「書いていることはあくまで私が思ったことや感じたことで、
間違った解釈もあるやもしれません。ご了承ください」
と、書いておけば誰にも責められないかとリスクを回避しようとしています。
参考にしてもらえればいいかもしれませんが、参考になるやも分かりません。
少なくとも、演劇は私を幸せにも悲しみにも自分とも向き合う機会を提供してくれました。
演劇に関わる全ての人に感謝を忘れないよう記録としてメモします。
2015年1月1日