2015年5月31日日曜日

069 小永井コーキのドンドコドコドコ

この日最後の観劇で本当に良かった。感想を書けと言われても小永井コーキを知らなければ、初見ではとても無理。まぁ初見ではありませんし、小永井コーキが好きですから、感想も書けるのですが。

ほぼ全編、何が起こっているのだ、何を待たされているのだ、何をしているんだ、と心の中で突っ込みまくり。

一人芝居に対するアンチテーゼかのような振る舞いに小永井コーキたるやを感じた。やたらと生々しい歌を歌ったり、動かせもしない山を動かそうとしたり、肉を焼く姿を観たり、最終的には球を投げる。

小永井コーキ自体の人柄が色濃く出ている。人の良さと言うか、ダメなとこというか、こんなに楽に観れるお芝居もそうはない。肩の力を抜いて、面白いとか面白くないとか関係なく楽しんでしまえと思わせてくれるし、実際そうなった。

面白い男ですよ、小永井コーキ。

068 ウサギプロジェクト「レ・ミゼラブルーシチュエーションコンサートスタイルLIVE」

久しぶりのミュージカル。歌の力をというものに感動をした。もちろんレミゼなので、物語はどんなものかは分かっている。きっと分からない人には何が起きてこうなったのか、いまいちピンとは来なかったかもしれない。ほぼ全編、音楽・歌で物語が進行していくので、無理やりのところもちらほら。歌詞が聞こえずらかったら終わり。

面白いなと思ったのは、全編音楽のため、ひとつに歌のうまさ良し悪しで伝わり方が変わってしまうのだなぁと言う点と演技ができなくても歌えればごまかしがきいてしまうのだなぁといった点。
もちろん演技力もいるんだろうけど、演技も歌がくってしまうから目立たない。

レミゼは非常に観ていて面白いので、楽しみ方や目線が違っていて、自分としては満足のいく3時間であった。

067 劇団子「トウキョウの家族」

東京から2年半ぶりの舞台。観るのは初めて。タイトルの通り家族がテーマ。廃れた旅館の雰囲気が凝っていた。家族ものに弱いのですが、分かりやすい話に先が読めて泣くまでには至らず。

3姉妹とその旦那や訳アリの男とずっと地元に住む男、町会議員の男、おばあちゃん。一枚の写真に吸い寄せられた劇作家、それを追ってきた劇団員。おばあちゃんは大分とぼけてしまっている。ドタバタな出来事を主軸に置きながら、家族のきずなを取り戻せるのか、長女と次女の確執を取り除けるのか、そういった物語。

映画のサマーウォーズって知っているのかどうかは分かりませんが、おばあちゃん役の方のおばあちゃんぷりが非常に似ていて、それを観れたのが個人的には面白かった。
そう、サマーウォーズを超えることはなかったのです。私の中では。2時間は少し長い。

2015年5月27日水曜日

066 無名劇団「無名稿 あまがさ」

今年の1月になんて面白くない芝居をする劇団だと期待せずに今年2度目の観劇。1月の感想はこちら。
http://kangeki1501.blogspot.jp/2015/01/blog-post_11.html

まるで生まれ変わったかのような変貌ぶりにまずはびっくりしました。これ面白いのんちゃうの?おぉ面白い演劇のパターンや(あくまで私的ポイント)。

川端康成の小説をもとに描かれていく真実とは何か、今現在の自分たちを取り巻く世界がどんなものなのか、考えさせられる作りになっています。

その構成の良さは、川端康成の言葉の力が強いことで作品が引き締まり、言葉に出すことで美しい言葉たちに魅了され、オノマトペが空間をうまくつかみ、作品として成立させていました。

役者自体がうまかったのかと言えば、そうというわけでもないのですが、きっと気持ちの入れようが上手い下手を補う役目になっていかのように思います。

物語は最終的に真実なんて、と崩してバラシていくのですが、そこも演劇的なみせかたをしていて交換を持ちました。主観的な存在と客観的な存在が舞台に常にいたことも面白かったと思います。

長くやられている劇団だとは思いますが、原点回帰の作品なのではないでしょうか。ほんと、1月との比べて観れたら別の劇団だと思います。できれば劇団員だけで公演をうってでて、しっかり若い俳優に力がついている姿を拝見したいと思いました。良作です。(少し褒めすぎ感があります)

065 匿名劇壇「悪い癖」

1人の女性を主軸に据えて、頭の中をのぞき込むかのような演劇。メタフィクションを武器に関西小劇場界でも人気の高い、もしくは注目されている劇団の作品です。

おそらく若手と言われる劇団の中では一歩抜きんでているなという印象をもちます。今の若者像といいますか表現の仕方がえげつないとも思いますし、それが魅力的でもあります。

だらしのない女性(おそらく精神病)の頭の中に存在するキャラクターが彼女をひも解いていき、最終的に彼女そのものをつぶしてしまいます。怖い話です。怖い話なのに笑ったり、悲しくなったり、どこか客観的にどこか俯瞰的に物事や果ては自分自身をみてしまう。

どこか冷めている、どこか他人事、どこか狂っている、どこか幸せを感じている、それらを主観ではなく客観的に描くことで演劇足らしめているのではないか。

面白いなぁと思うのは、これが分からないところが多く出てくるのに気持ちよく見れてしまう気持ち悪さ。勝手な解釈を観てる側に提供してくる怖さ。で、お前はどうなん?と突きつけられる良作でした。

2015年5月21日木曜日

064 劇団子供鉅人「組みしだかれてツインテール」

おバカを突き抜けて呆れてしまう作品。妄想彼氏の存在は面白かった。あとはくだらないことを本気でやりきる役者がまぶしかった。

妙な身内感があるのには最初から引いてしまっていた。絶対笑えなくなるなと思いながらの観劇。10分おしは謝ってくれたから自分の中では処理しておくが、ありえない。トイレ行かせすぎ。

話はくだらないので特筆すべきことはないが、女子高に通う学生たちそれぞれに妄想彼氏がいて、それぞれに見えるように具現化されてしまうところや、行き過ぎたSEX描写はそこまでやってくれたら突き抜けてしまうので受け入れられた。力押しで押し切る強さはありだなと最終的に思ったので、いいとは思う。あとは好みの問題。

063 笑の内閣「名誉男性鈴子」

選挙を舞台にいわゆる男的考え方を主張する女性立候補者を描いた作品。相変わらずこの手のテーマを取り上げるところにうまさがあると思う。非実在少女ノルテちゃん?だったろうか、そちらのほうが面白かったのだが。

女性のためのと叫びながら、公約とはかけ離れた女性議員は実在しそう。実際そんなもんかもしれない。こうあるべきだというべきだ論と男はこうで女はこうという決めつけ。できればもっとぶっ飛んでほしいということを観劇後、思いました。

笑うに笑えないネタが自分としては多くて、多くの問題を提示してくれているとは思う。親のいない子供がどうのとか、セクハラ元市長や利害関係を考える応援団長、議員になることが女性の社会進出の方法と固執した考え方。生き方ぐらい好きにしたらいいのに。それでは作品にはならないか。

バイアスのかかった問題を問題として取り上げ、喧嘩を売る作品は好きだ。

062 gate#13《May》Quiet.Quiet「条例」、万博設計×プロトテアトル「INEMURINOKUNI」、コトリ会議「チラ美のスカート」

京都のgateは4回目かな。いろんな団体を短編で3つ観れるので面白い。企画としても「げきをはなそう」というテーマを掲げているようで、好み。

Quiet.Quiet「条例」
死刑制度を取り上げて、裁判員どころか死刑執行人に一般人がなっている。しかも執行人に選ばれた女3人が命の重さ云々かんぬんよりも3人の関係性から死刑が執行されるという衝撃的と言えば衝撃的な内容。3人芝居で三者三様とも腹の立つ女。自分の思い通りに進めようとする人、自分の意思なんてあってないような人、関係性を閉ざした自分の殻に閉じこもる人、命は適当にあしらわれる。3人の会話が非常に腹が立ち、面白かった。

万博設計×プロトテアトル「INEMURINOKUNI」
電車の中、突然の事故で失われる命。失われるまでの数十分の物語。同じ時間、同じ車両に居合わせた4人の登場人物。本当にどうでもいいことをそれぞれ思い、失われていく命。会話もほぼなくそれぞれの自己主張が続く。最後に少しだけ会話を交わすが、おそらくそれは死んだ後の話。明日、いや今日、いや数時間数十分後、私たちは死ぬかもしれない。いつも通りの日常の中で不条理になくなるのだろう。

コトリ会議「チラ美のスカート」
隕石が地球に落ちることが分かっている。分かっていてどう生きるかをおかしく愉快に提供してくる恐ろしい展開。色々な情景を切り取って観せて、これはお芝居ですと言わんばかりに馬鹿げたことが提供される。こうして世界は終わりを迎えるんだ。いやそれも芝居の中で、頭の中で起きているだけの話なのかもしれない。

061 STAR★JACKS「Born to Shine~Reborn~」

時代劇の設定が自分に合わないのだと思ってしまった、というよりも家督制度に引きずられている男は外で女は中でというやり取りや父親と息子、母親とのやり取りが気に入らないのだということがよく分かった。

物語の中に一環としてある命を無駄にしてはいけない、しかし若さからの押さえようのない憤りさは、この時代だからありえた話なのだろうとは思う。

彰義隊の物語を基盤に展開されるので、全員が死んでしまう展開になることが最初から予測されてしまっているので、2時間半は耐え忍ぶ観劇となると思っていたが、想定していたよりも面白かったので、良かった。

別の話で当日パンフレットをもう少し何とかできなかったものかと思う。顔が縦伸び、横尺を変えた切り貼りは見るに堪えない。

朱の会を観ていて、良かったと思うところは、天野八郎を演じた奥田卓さん、倉内彦左衛門を演じた小川惇貴さん、歌を演じた爽田いもりさんツグミを演じた福良千尋さん、ヒバリを演じた佐々木穂香さん、おきぬを演じたMAYUさん、と印象に残る方が何人かいらっしゃったこと。

特に原田左之助を演じた壱劇屋の竹村晋太郎さんは役にぴったりはまっていたので、竹村ファンとしては満足でした。

2015年5月15日金曜日

060 努力クラブ「彼女じゃない人に起こしてもらう」

タイトルはいいなぁと思っている。内容はグダグダ。最初の10分と最後の10分、おまけして10分足して30分作品としてコンパクトにまとめていただきたい。

誰だって「彼女じゃない人に起こしてもらう」と聞けば、あれこれ想像して楽しみじゃないですか。それを裏切る作品ではあった。

ベッドに横たわる二人。急にバイトの先輩に呼び出される男。隣の女は既に怪しんでいる。バイト先の先輩に会いに行くと「私のこと好きなんやろ?」と言われ、「はい。まぁ」とそっけなく返事。今度遠出して海を見に行こうと誘われ断れずに下心満々で向かう後輩(男)。ところが女は自殺しようとしていた。そんなお話。

冒頭のセットされているベッドでのシーン、遠出するところ、最後のラブホでのベッドシーン、以上で作品は完成していたので、あとは蛇足。しかも蛇足が多い。現実の世界と非現実を生きようとしている人物の違いの面白さを表現しようとしていたのではないだろうか。それはそれで面白い。

セットもベッドだけで良かった。他はいらない。病んだ女と優柔不断な現実にいそうな男、それだけで面白いので他はいらなかった。

059 劇団ショウダウン「SHOWUP in 船場サザンシアター」

2作品の上演。昔のショウダウンのイメージの強い作品だった。おふざけから感動もの。久しぶりのナツメクニオ節といったところ。小さい空間で一日だけしかなかったので、もったいないなぁと思いつつも楽しめた。

「Bayonetta」
格好のいいタイトルだが、中身はおふざけ。RPGのような世界に入り込んで、魔王と勇者のかけあいコント風味。面白いと言えば面白いのだが、もう少し完成度の高いものを観たかったというのが本音。笑えなければ面白くないということだと思う。

「コンフェッション・オブ・ザ・デッド」
交通事故にあった会社の先輩と後輩の最後の思い出作りに遊園地へ行く物語。会社の先輩(女)は死んだことに気づいていない。後輩は生き残ったものとして成仏できるように先輩の叶えたいことを実現しようとする。本当に生き残ったのは誰だったのか、そこがミソ(途中で分かりますが)。
爆発力はなかったが、物語としては少しまとまって観れたので良かった。二人芝居なので掛け合いの間や空気感というのが如実に現れるので、もう少し稽古してから観たかった作品でもある。

2015年5月10日日曜日

058 ももちの世界「N.Y.の天使⤴」

人と人の何気ない日常の切り取り方が非常に巧みだなぁ、印象に残る創り方。しつこい部分もありましたが、それは観せたい意思だと思いますし、届けたいものなのだと思いました。

まず物語の下敷きには9.11があります。前半は姉弟二組のやり取りで進んでいきます。弟二人はいずれも相手の姉に恋をしています。届けたいが、届けられないもどかしさの距離、死という突然やってくる出来事、宗教、思想、戦争に登場人物が絡んでサスペンス調に物語は後半へ突入します。

丁寧さと鋭さがいい加減な具合で配置されていることで展開が観ているのには心地よかった。役者も等身大とは言いませんが、それぞれの持ち味が物語に溶け込んでいていい作品でした。多分TVドラマや映画にしてしまうと面白くなくなってしまう演劇ならではの共有感がありました。心地よくて何回か意識が飛んではいるのですが。

舞台に配置されていた透明なフィルターのような鏡のような美術も自分たちが覗き見られている感と違う角度から人物が見えてしまう鏡のさまも楽しめるもので好みでした。

057 劇団SOLA&劇団クロックガールズ 「あの日 僕らが見た明日」

若さがもつ独特のエネルギーが充満した舞台だったと思います。また物語自体も多少の無茶はあったものの登場人物それぞれの未来が見えた時、今の私はどう生きたいかを問うてくれる内容で素直に面白かった。

大人数の演劇ではどうしても出てくるのが、気持ちと言いましょうかオーラと言おうか、演じる方がどれほどの思いをもって、舞台に上がっているかといったことが濃く見えてきます。ですから、印象に残る方と残らない方がいらっしゃいます。全部で何人でしょう。20人は超えていたかと思いますが、僕が印象に残っているのは3人位でした。

山登りグループ対抗レースで通常のコースではない道を選んで道に迷い、このまま死んでしまうのかという状況で何人かの人が自分の未来を夢で見てしまう。見たことがこれから私に起きること、そんなのは嫌だ、今まで抑え込んでいた自分の本音がポロリとでます。人を羨んだり、自分を押さえつけたり、夢を声に出して言えなかったり。本当の自分とは何なのか10代の等身大の自分を認めてあげる作品でした。

056 プロデュースユニットななめ45゜ 白木原一仁ソロマイム公演「for スマイル」

全編マイムで一人で60分演じ切る公演。
その役者の力に圧倒されてしまう。
強力な力技というよりも、ものすごく丁寧な創り方でマイムの表現の幅を広げてくれる作品。

観ながらどこかで観たことがあると思っていたのですが、それもそのはず一人芝居フェスで拝見していたことを観劇後、教えてもらって気づきました。

内容は「つみきのいえ」という絵本なりアニメーション(確かアカデミー短編アニメ賞を受賞しています)なり見てもらえば分かります。一人の老人の人生を走馬灯のように駆け巡っていく名作。

60分という長時間を言葉なしでマイムだけで表現されることは本当に苦労されたと思いますが、冒頭のシーンだけで、その世界観に引き込んでくれます。ほとんどのお芝居でそうですが、どこかで気が緩んで眠くなったりしますが、この作品にも正直ありました。どこを観せたいか、何を感じてほしいかの難しさは自分の好みもあるのだろうなと思い、観ています。(この作品に限った話ではありません)

役者の身体一つで必要最低限な音照のみで、そこに何があるのか、どんな物語が展開しているのかを観客の想像にゆだね、観客とともに描き切る力があるのは役者力なのだとも思います。まだ観劇したことがない人、マイムって大道芸のひとつでしょとか思っている人にぜひ観てもらいたい作品でした。

2015年5月6日水曜日

055 BLACK★TIGHTS「ラグナロク」

関西小劇場の中でも豪華な役者陣でファンタジー世界が描かれる。
出演者が多くて、物語は難解なように見えて実は単純です。まずイメージしたのは映画のマトリックスの世界観。人の生命をエネルギーにして世界は成り立っている。
地上世界は凍りつき地下世界で暮らす人々。原因は人身御供になった人ざるもの魔女と呼ばれる3姉妹。魔女に見初められた人は不思議な魔法を得る。人を絶滅させて自分だけのものにしようとする者、人を絶滅させて再生の道を目指すもの、人を守ろうとする者の戦い。そして恐らく中心となる親子二代にわたる物語。

残念ながら僕にとっては豪華な役者陣でみれた演劇です。ストーリーが入ってこない、興味がわかないのはみせたいものが多すぎてバラバラと提供されるからだと思いながら観てました。しかも過去や未来に飛ぶ。ただでさえ登場人物が多いのに語りたいものが多すぎる割に中身がない。感動までいきつかない。

好みの問題かもしれませんが、ミュージカルと言う限りには、口パクはやめてほしい。口パクなのに何言っているか分からない。セリフが出てくると物語の説明、殺陣が頻繁に起こり、どの場面か混乱の嵐。途中から役者やダンサーを楽しむことに切り替えて観劇する。

物語構成や登場人物(役者)の生かし方、ミュージカルの必然性、どれももったいないことが起きている。物語の軸がぶれているため、集中できない、面白くない。僕にとっては、もったいない演劇でした。

2015年5月4日月曜日

054 カメハウス「罪ツツミツツ蜜」

探偵ものシリーズでありそうな内容。人の想像の産物が罪を背負い生きていくといったところがまとめになるのだろうか。

怪奇専門の幼女探偵が記憶喪失の男と出会う。一方ある一家で人殺しの事件が起き、それは怪奇な出来事であった。果たして殺したのは誰で、なぜ殺人が起きたのか。そこに妖怪めいたものたちの怪異というキーワードに込められた謎をひも解く物語。

非常についていくのが難しかったので、途中から頭で考えることをやめて観るようにした。自分が理解できることだけを残していく観劇方法。

不思議な世界観は小説のように濃密であったかと思います。そこは面白かった。幾人か気に障る演技をしていた人がいたので(できないのにできると思っている役者)、おいおいと思いながら観ていました。

逆にこれからも観たいなぁと思った役者さんもいらっしゃったのでそこは収穫かと思います。惜しむらくは客が少ない。勿体ない。

053 中之島春の文化祭(5/3)

7周年ということで、僕が観ているのは4回か5回目。劇団や漫才師の自己紹介的な位置づけとしてみています。ですので、期待してはいません。お祭り的な雰囲気とええお芝居に出会えたらいいなぁといった気軽な気分で観に来ています。

イベント自体は出入り自由なこともあり、チケット予約はあるものの整理番号は当日配られる方式で人気劇団なんかがいると早くから列ができます。毎年恒例のように、みんな並んでいるのに遅れてきた人が早く来ていた知り合いと立ち話になり、そのまま早い整理番号をもらう横入り、知り合いに頼んで席取りなんて横行しています。席取っといて目的の劇団が出るまでいなくなるってことももちろんあります。
残念ながら毎年そういうことはあることが分かっているので、諦めています。

感想は、演劇作品のみに絞って書きます。

■スクエア「柏木誠の闘病生活」
過去春の文化祭で観て、本公演の観る気をなくした劇団です。やっつけ感が強くて嫌でした。今回はまし(稽古されてきた)になっていたかと思います。ほぼ笑うことはなかったですが。

■笑の内閣「名誉男性鈴子 パイロット版」
男性的といわれる考えをもった女性政治家のお話。本公演のスピンオフ作品といったところです。お上品なお客さんが多いのか、身に当たることが多いからなのか、それほど受けなかったのですが、テーマとしては面白かった。性別的考え方はここいらではっきりさせてもらえるといいかと思います。

■オイスターズ「鹿」
不条理劇を上手に描くので好みな劇団です。卒業旅行のバスの中、鹿と戯れなくてもいいのかと運転手が生徒に話しかける。しかし生徒は空想(と僕は理解)に夢中で、鹿が友達(と勝手に生徒は思っていると僕は理解)に食べられるといったポルターガイストな事態に。無茶苦茶ですね。運転手と生徒のやり取りが観てて面白かったです。

■匿名劇壇「悪い癖」抜粋
お薦めの劇団です。何とも掴みようのない女、それと付き合う男。一方カラオケハウスで過ごす男女の一向。シュールに重ね合わせてのカップルの会話とカラオケハウスの音楽。ダメダメな若者を描いていて気持ちがいい。本公演、既に予約済みだが楽しみにしている。

■かのうとおっさん「しゃかりき陰陽師登場!」
ショートコント的演劇。単純に面白い。不意に起きるアドリブ的場面がツボ。着慣れていない陰陽師の衣装や、小道具の扱いの雑さが狙いだったら素晴らしい。ショートばっかり観ていたい。

■ヨーロッパ企画イエティ
申し訳ないのだが、内容すら覚えていない。何をしていましたかね。面白くないやり取りをしていた?あっ喫茶店の消臭剤をケーキにかける話だった。面白くない。

■劇団Patch「冬の来訪者たち」
こたつで友達を待つ人。そこに訪れる携帯アプリの「ねこあつめ」を模したかのような猫たち。そして不意に始まるキャッツ。ねこあつめをしていないので分からない。雰囲気を楽しめたのでまぁよし。ファンの○○君が猫の格好しているカワイイ、オモシロイ~といった身内笑いは織り込み済みで観ている。

■N-Trance Fish
お薦めです。音楽とダンスの融合がたまりません。ダンスのレベルがお遊戯ではもちろんないので、観ていると迫力がすごい。ほぼセリフのない音楽とダンスのみでの世界観の作り方、観客をのめり込まさせる力がすごい。

■劇団レトルト内閣「リーマン俳優こみたおの熱血!サラリーマンNOW」
昨年も同じ演目だったかと思います。本公演では見せない内容で、僕は小休憩させてもらいました。タイトル通りのリーマンとはこう生きるのだといったもの。

■劇団赤鬼「劇団赤鬼の成人式」
20年を迎えるそうで、その中であったことを成人式に見立てて演劇に。へ~そんなことがあったのか、が感想になりますね。いい悪いも別にない、自己紹介演劇の典型的バージョン。

■MousePiece-ree
おっさん3人が有名なドラマをパロディにして仕立てあげてました。面白い。きっとこの劇団はこんなことを見せてくれる劇団なんだろうと思わせてくれ、楽しかった。本気のおふざけはこちらも本気で笑ってしまいます。お薦めです。

■劇団壱劇屋「THE GREATEST HITS OF ICHIGEKIYA」
過去作品のパフォーマンスを詰め込んだ作品。劇団がやってきたことをコンパクトにハードに詰め込まれていて、実に良かった。期待させるものがあったかと思います。

■石原正一ショー「野球狂の唄子 プロローグ」
某漫画のオマージュ作品といったところです。石原さんの人柄がにじみ出ていたように思います。懐かしさがあふれており、それがいいのか悪いのかと考えてしまいました。

052 The Stone Age ヘンドリックス「ハローハローハロー」

前回の「結婚しようよ」と合わせて、最終的に三部作になるらしい。「結婚」「再婚」「離婚」、今回のは「再婚」がテーマ。

こういった家族ものをテーマにしたものは、もちろん演劇以外でもあちこちであるもので、おなか一杯感もあるし、共感レベルが人それぞれ。それは観た人の環境によってかわってくるもので、例えばうちの親は再婚ではないし、僕自身が結婚しているわけでもないので、再婚の気持ちなんて想像でしかない。想像で感動させられるかどうかになるのだけれど、今回は感動はしていない。

こんな話があるのもいいなぁ、と思ったレベル。可もなく不可もなくであった。血の繋がっていない父子の身体と心が入れ替わる、よくあるパターンに元妻(死んでいるので幽霊で登場)、再婚したい相手、親戚が集まり、それぞれの恋愛や結婚にたいする考えが入り混じり父子は互いに互いを理解しあうといった話。ところどころ入ってくるコントのようなやり取りは観ていて面白かった。

2015年4月28日火曜日

051 浪速グランドロマン「親愛なる凸と凹へ」

夢の中の物語。現実っぽいけど、夢。時々変な生き物が登場する。それはメルヘンの世界で人数の足りない小人や魔女。現実にいるあいつも友達もやってくる。現実って何だろうか。僕たちが見ている世界も夢ではなかろうか。そんなことを思わせてくれる作品でした。

演劇としては若手と古株が混じっていて、おかしな感じだなぁと言う印象。昭和っぽい話し方、分かりやすいジェスチャー、セリフ回しの古株たちに、現代人っぽい自然体の演技をする若手たち。僕にとっては、若手たちの自然体の演技のほうが入ってくる。

オーバーリアクションは笑いを生み出すひとつの方法になっているんだが、分かりやすいジェスチャーやセリフ回しが違和感と笑いをはらんでいて、それでいいのかなぁと観ていた。僕よりも齢が上の人は笑っていたから、それもありなのかとも思う。

ストーリーは実はそれほど入ってこない。今の自分、夢の中の自分、どっちもあたしで、生きている。そんなことを表現していたのだろうか。しばらく時間がたつと夢みたいに忘れてしまう演劇でした。

2015年4月21日火曜日

050 突劇金魚「ゆうれいを踏んだ」

生きている中で出会ってしまったものに影響され生き方や人との付き合い方でさえも影響されてしまう。それが幽霊で桜。

ゆうれいを踏んでしまって、それまで真面目だった女の頭から桜が生える。そのせいで家族からは捨てられ、遠い親戚のもとに逃げるが非日常が迫ってきたから逃げて、バイト先で出会った演劇主催者に利用され逃げて、思っていた日常に出会ったのに、彼氏の優しさや痛いところを突かれて、怖くて逃げてしまう。逃げて残った傷跡。日常と非日常を逃げる物語。

難解です。正直分からない。一人の女性を軸に置きながら、日常と非日常の境目で苦しんでいるように映る。出てくる登場人物みなが変な人たち。印象に残り続けるのがゆうれいの存在。すぐそばにいる非日常。日常に引き戻そうとする彼氏。これがまた笑いを誘うセリフが多いのだが、僕にはどうも笑えない。この気持ち悪さは何だ。

終了後、この感想を書くまで誰が有北さんか分かっていなかったが、あのおばあちゃん役だったのかと気づく。予想外に良かった。基本笑いを取りに行く役しか観ていなかったので、驚いた。そうか、知っているお客はだから笑っていたのか。

作品とは関係ない話だが、どうもあの出落ちで笑うことに対して、ものすごく嫌気がさす。何もしていないのに、真面目な役なのに舞台に出てきた途端に笑うとは失礼ではないか。笑わせようとしているなら話は別だが、出落ち笑いと身内感笑いだけは気に入らない。今そんなことをふと思った。

049 空の驛舎「追伸」

生きること、死ぬこと、それを優しい舞台で3つの物語で描いている。死を経験した人はこの世にはいない。人はそんな死にいろんな意味を込めているのだと思います。意味のある死とは何なのか。

生きること、生きていることを今私は経験しています。だからといって生きることを考えているわけでもない。意味のある生とは何なのか。

そんなことを思いながら、この3つの物語を感じて観ていました。タイトル通りの「追伸」それは生から死へ、死から生へ、これほどに優しく重たい「追伸」を受け止めることができるのだろうか。

1話目は生から死へ、同じクラブの後輩マネージャーが死んだ。先輩2人(男と女)と死んだ後輩マネージャーと同学年の男。告別式での帰り道。学校のグランドで死んだマネージャへの思いを語ろうとせず、語っても軽い話だけ。あの頃の校舎とは変わってしまっている風景に時間の流れ、死が訪れ、自分たちの生きていることを考える。伝えたかった言葉、伝えられなかった想い、セリフの中の「ずるいね」という言葉が胸に残ります。僕には生きているなんて「ずるいね」と聞こえました。

2話目は生と死の両方へ、金貸し屋とギャンブル依存症のおばちゃん(おそらく死んでいる)、生死の境界線を見ている兄と帰ろうと言う妹。微塵も動こうとしない生死の境界線の兄、一緒に生きたい妹は境界線をグルグル回り帰ろうと叫び続けます。死してなおギャンブル依存の彼女もまた伝えたい言葉を伝えたい相手に伝えることもできず、同じところに居続ける。生と死の狭間でどんなことを私たちは残せるだろう。演出は軽快なやり取りなのに、複雑な気持ちになりました。

3話目は死から生へ、入院中の男と付き合っている女、その女の友達。男はどんなことも「」(かぎかっこ)の中に入れる遊びを彼女とおこなう。生も死も「」の中に入れられるのだろうか。友達は自分が彼女に救われたつばめだと語る。彼女はその語りを聞いて自分が死んだものだと気づく。男に優しく生きてと伝える。交通事故で生き残ったものと死んだものの想いが存在する。胸が痛い。

想像で補うしかない生と死、演劇という舞台はそれを観せてくれる。優しくて重たい追伸という言葉にのせて。

2015年4月19日日曜日

048 壱劇屋 MASHUP PROJECT「GOLD BANGBANG!!」

MASHUPの第一弾ということでピースピットの「GOLD BANGBANG!!」を壱劇屋風にアレンジしてきた。

10年前、当時の僕は演劇はぽつぽつと観ているくらいの時でピースピット作品が面白いと聞きつけて観に行き、見事にはまってしまった。
観てしまっていると比べてしまうのです。

アレンジできていたのか?壱劇屋のメンバーが演じるのですから、もちろん当時にないキャラクターの見え方はします。正直な話を先にすると10年前の衝撃は超えない。おそらく僕自身の中で当時のことが色濃く残ってしまっていることも一つの原因だと思います。

そして当時のオリジナルメンバーの魅力が勝ってしまう!元々、ピンの人や劇団所属の方たちが集まって創っていたこともあるし、勢いもあったしね。

やはり壱劇屋には自分たちの作品で本公演をうって欲しいと期待してしまうというのが、正直なところ。

面白くなかったのかと言うと、そういうことではないが、アレンジできていたのかというよりもチャレンジしました、という作品になってしまっているのではないだろうか。

もちろんこれまでの経験があるからこその舞台にはできている。そりゃ面白いんですよ。こういう化学変化させる企画は嬉しいし、その分期待度がアップしてしまってました。

観客が段取りを追うことを気にしてしまうのではなくて、魅了されてしまうできにもっていってほしい。できるかどうかは分からないが抜けのある芝居でそれぞれのキャラの個性をもっと生かしてくれれば、とも思うし、今のままではナリタシリーズの一つとしてみられても仕方ない。この企画が残り2回ある。その中で、新生「壱劇屋」をみたい。

2015年4月16日木曜日

047 US企画短編セレクション 遊士-アソビニン- 「純愛ジャンクション」「ライト」「シロとクロ」

名古屋へ行ってまいりました。名古屋の街自体が初めてだったのですが、面白いところですね。少し駅から離れると下町みたいな雰囲気になって過ごしやすそうでした。

純粋に観たいものをお取り寄せしたという企画。こういう勢いや出会い企画は大阪でも観てみたいので、誰か一緒に企画しましょう。

既に「ライト」「シロとクロ」は5回以上観ているので、感想も含めたものとなってしまいます。

「純愛ジャンクション!」出演:藤村昇太郎(牛乳地獄)×作・演出:西尾武(猛烈キネマレコード)
高校生男子に恋愛をさせれば、面白くなりますよね。校内マラソンで一位になれたら、あの子に告白!少年漫画の王道のような設定。走る走る、あの子に思いを届けるため。その道中に友達が邪魔というか真実というか大好きなあの子のことを教えてくれます。
若さを売りにした勢いは良く、ストーリーにもうひとひねり欲しいくらいにどストレートでした。どストレートはどストレートで起承転結の「転」がもう一声でした。

「ライト」出演:おぐりまさこ(空宙空地)×作・演出:関戸哲也(スクイジーズ)
専業主婦の愚痴だと思わせての家族問題、働き方、追い詰められる状況をリアルに伝えてくる。
笑いがところどころで入ってくることで、油断させられてしまうのですが、真実が少しずつ分かってくると、とても他人事にしてはおけない気持ちにもっていかれます。もちろん演劇ですので面白いところは面白くしているのですが、分かってくるたびに生々しい怖さに襲われます。何回も観ているのですが、どんどん生々しさが増してきていて、きっと演出も変わってきているし、演じるおぐりさんのリアルさも増しているのだと思います。良作です。

「シロとクロ」出演:米山真理(彗星マジック)×作・演出:勝山修平(彗星マジック)
少女と犬の物語。一緒に歩んできた道のりに嘘はない。一緒に生きてきた。確かに一緒に。全編リズム合わせで綴られる作品。
米山さんの代表作と言っても過言ではない、観劇してほしい作品です。リズム合わせももちろんですが、言葉にも注目してほしい。観る度にどこかでぐっときてしまいます。というか泣いてしまいます。僕に語らせると長くなります。感想にならないです。2015年もシロとクロに出会えて幸せでした。何度でも出会いたい。

2015年4月14日火曜日

046 火曜のゲキジョウ 劇団サニー「しんぷる・くろーぜっと」&月曜劇団「大の大人の人」

テイストの違う(当たり前か)2劇団。しっかり作り込んだお芝居と軽快なノリと突込みのコント。それぞれ濃さがあって、楽しめた。

劇団サニー「しんぷる・くろーぜっと」
前作「みるきーはわかってくれない」を観てきているからか、独自の空気というものが劇団サニーにはあるのだろうなと感じている。本なのか演出なのか、きっと本だろうなとは思う。色があるのはいいことだ。好き嫌いが分かれることにもなる。
姉弟のやり取りにお邪魔しいの何者かがやってくる。鬱陶しい役だ。いちいち姉弟の間で余計なことをぺらぺらと述べる。そんなに急がずとも時間やタイミングが解決することもあろうが。星に願っても叶わないことはある。
姉に告白したい弟は若いこともあるし、姉が好きなのだろう。姉は弟が好きだ。家族という枠の中では好き嫌いで測れないものもあるのだと距離感を観て感じた。そこらにいる弟とは自分は違う。その違いを告白しようとするが、できない。認められたいが、できない。結局できない。星に願っても部外者が出てきてもできない。できない物語。
弟好きな僕にとって弟がかわいかった(事実です)。
30分程度では物足りないお芝居でした。

月曜劇団「大の大人の人」
同世代組としては笑ってしまっていたのだが、笑ってはいけない気もする36歳、梅田純平。
大人の人って何でしょう。ビール・酒を片手にもって、ネガティブとポジティブと両手にもって、本当は悲しいのに楽しいっていったり、本当は嬉しいのに普通と答えたり。大人の人って何なんでしょう。
面白いなぁと思っていたのは、一方仕事、一方彼氏(結婚)を探している二人のコントみたいなものなのだけれど、「仕事なんてすぐみつかるよ」と言い「彼氏なんてすぐみつかるよ」と言い、みつからないから「今ここ!!」みたいなやり取りは真をついてた。
そういう意味では若いかむっちゃ年寄りじゃないとチヤホヤされないみたいな話も確かに興味深く悩んでしまう。
今の20代には笑い話だろうけど、私たち30代には真実なのだな。
もっと観ていたいと思ったが、笑えば自分のこと、悲しめば自分のことになるので、観ていると落ち込みそうなので30分でいいです。

2015年4月11日土曜日

045 表現集団Infinity「Taoyaka」

1月に予定されていた公演が塾長の病気で延期になり、4月、船出公演を迎えたとのこと。おめでとうございます。第1回目というのは本当に大変だったろうなと想像します。

時代劇、20年前に起きた事件をきっかけに出会った者たちがそれぞれの思いを胸にもがき苦しみ生き抜く物語。

舞台があるのが専門学校だったせいでしょうか。照明、音響が非常にもったいないことと、美術も残念だったと思います。

物語は王道なんだと思います。王道であれば王道なりの演出の仕方もあるかと思います。通路を使った登場の仕方など変に凝ったことはせずに、まっすぐに演じてほしかった。

役者それぞれの表現には多少のブレを感じる方もいらっしゃいましたが、初日の緊張感たるやを想像すると無理もないかとも思います。役になりきるとはどういった状態なんでしょうね。ここで涙を流せば、ここで見栄をきれば、ここで怒りを出せば、観客は共感してくれるのでしょうか。僕自身もうまく説明ができませんが、何かが足りない、そんな風に思っていました。

船出となった今、次なる作品に期待します。

044 がっかりアバター「啓蒙の最果て、」

関西小劇場若手の中で注目もされている。破壊的な衝動と繊細な衝動の狭間を歩く、そんな印象の劇団。

啓蒙って何でしょう。概念。暗闇から現実を見せつける行為。そんな言葉がはまっていく作品だったと思います。

意味の分からぬRPGなマスターベーションな演劇をDisるところから、劇が動き出す。舞台を演劇を取り上げられた役者たちは非常に無様だ。無様な存在。

舞台は非日常で役者はそこでしか生きていけない。ひとたび日常に戻るとそこは自分が自分でいられなくなる世界。狭い世界。もがいてもがいて見つけ出すのは腐った自分。

ほんとであろうが、虚構であろうが、いずれにしてもオナニー演劇であることは変わりはない。演じているのか自分なのか。

きっと愛すべきクソ野郎どもであるのだろう。

043 火曜日のゲキジョウ C4 CriticalCreation「目病み猫と水のない水槽」&ClickClock「キリコの諷景」(2回)

二面舞台を使いながらも違う演出、観せ方でありました。二つの作品とも「生」ということを考えました。生々しく生活と生きるを描く、僕は僕として「生」とどう向き合えるのだろうか、また一つ二つの作品に出会えたことを感謝します。

Critical Creation「目病み猫と水のない水槽」
舞台中央に置かれた何も入っていない水槽、舞台は部屋、部屋の中央の水槽、一人の若い男が生活している。

猫を買ってきた。ペットショップで本当に欲しいものではなくて持ち金に合わせて買ってきた。そんな猫は目病み猫。主人公は部屋に引きこもってばかり。

揶揄のように部屋はペットショップの籠の中。籠の中の自分。目病み猫と同じような主人公。

部屋の中央に置かれた水槽もまるで主人公の部屋のよう。水も入っていない、水が入っていた時の熱帯魚は死んだ。主人公も死んだ熱帯魚と同じ。

少しずつ猫も主人公も変わりだす。生活に大きな変化はないし、求めて無理して失敗する。そんな日常。答えのない毎日を繰り返す。一寸の光を求めている。それでも生活は変わらない。少しの変化は自分の気持ちの変化。それだけ。また生活が始まる。また生きていくんだ。

長くなりましたが、優しくも厳しい私小説を観た印象です。

Click Clock「キリコの諷景」
再演です。初演の時の印象とは変わり、底へ底へと潜っていくような作品。生というものに執着し、妹の死を受け入れられないキリコ。キリコは汽車に乗る。死んでしまった妹に会うために。妹の死は認めていない。人から奪った太陽の種を届ければ、きっと病気の妹は元気になる。そう信じて汽車に乗る。でも妹は死んでいる。

乗った汽車は過去へと遡る。生を求め死を受け入れず過去を追うために汽車の燃料は同じ名前を持ち生と死の狭間のキリコ(みな妹もいる)。

なんて悲しくも生と向き合うのだろう。死と向き合うのだろう。それほど「生」というものは無常で「死」というものは本当の意味で理解できないものなのだろう。

最後の選択、太陽の種を未来に埋めに行く。自分の「生」を捨て、「死」を受け入れる。

死を目の当たりにし、死を思い、死を受け入れられず、死を認めない。僕たちは日常の中でたくさんの死に出会う。それでも本当の死は知らない。だからこそ、生きることを考えてしまうのでしょう。

2015年4月8日水曜日

042 スーパー・ソウルフル・ミュージカル「ウィズ ~オズの魔法使い~」

久しぶりの大きな商業演劇。梅田芸術劇場、行くなんて久しぶりだ。5人に1人が双眼鏡的なものを持っている。そうだった、受付で売られているほど持っていくものだった。

誰もが読んだ、もしくは見たことがあるオズの魔法使い。ストーリーについては言うことないでしょう。
興味ない方はどうでもいいことでしょうが、梅田彩佳(NMB48)さん目的で観に行きました。
何度も涙ぐんだり、泣いたりしたのですが(これはもうファンだからですね)、観終わってやはり脇を固める役者やダンサーがとにかく上手い!だからそれに負けじと主演もうまくなっているという印象。

ミュージカルも本当に久しぶりに観たのですが、気持ちがのってきてしまう。のめり込んでしまいます。面白かった。

舞台が大きいと照明も舞台仕掛けも美術も世界に引き込む要素として大きいです。小演劇ばかり観ているので、その差を観ながら考えてしまっていたのですが、衣装は負けないだろうなとは思いました。

書きながら思いましたが、この感想は面白くないですね。
本気の梅田彩佳が観れたことで目的が達成されていることがその理由だ。
それでもすごいと思うこと。面白いと思うところはありました。

041 futurismo「珈琲が冷めるまでの戦争」

カフェでの公演を生かした物語。物語というか、シチュエーションストーリーと言ったほうがいいような気がする。

カフェで待ち合わせする男女。どうやら別れ話が展開されるようだ。ただそれだけのシチュエーション話を役者の演じるキャラが時間を追うごとに濃くなっていき、他人事のように思わなくなる。匿名劇壇の福谷さんの本はいつも毒をきかしたセリフや展開が巧みで、悪い気分のする手前のちょうどいいところに置いていく。

またラストの展開も面白いのだけれど、本当に面白いと思えるのはそこにいきつくまでの過程。そのプロセスを魅せる描き方が巧み。何気ないやり取りでキャラがたちあがり、何気ない仕草や動きが役者をそこに本当にいるものだと思わされる。

他人事を自分事に、舞台の中にお客をあげてしまう芝居は毎度のごとくうまくて、これをカフェで行うことでさらに強調して感じることができました。

こうなると匿名劇壇の本公演を観たくなってしまう。

2015年4月4日土曜日

040 シアターシンクタンク万化「チューリング・コード~生まれつき涙を流せない男の話」

極秘裏に開発されたアプリ「チューリング・コード」それは、人に寄り添い人を思い人のための存在。発案者や開発を共にする仲間たち、企業という組織による圧力、様々な立場の登場人物たちがそれぞれの思いを元にいったい誰が人を思っているのか、家族の風景とともに人間の脆さや強さを感じさせてくれる作品でした。

サブタイトルにある「生まれつき涙を流せない男」非常に魅力的なタイトルで、後半に大きなネタバラシがあり、おそらく前半からも少しずつネタがあったのだと思うのですが、もう少し深く語られても良かったかと思いました。
感情という生き物をコントロールすることは非常に難しく、悲しかったり嬉しかったりして涙を流すという行動は確か人間だけができることだったように思います。
他の演劇で、涙なんて人間が勝手に悲しいと思ったり喜んだりして勝手に目から出てくる抽出物だ!みたいなことを聞いて「へ~」と感心していたのを思い出しました。

登場するアプリを演じた夢野さんが本当に可愛くて、本当にこんなアプリがあったら購入するだろうなと思ってしまっていました。本音なんてどこまでいっても出せるわけがなく、確かに機械的に判断してもらったほうがいいのかもしれません。

下手をすれば説明ばかりになってしまう世界観を見事にエンタメにしてしまう力は万化の力だろうとも思いますし、本、役者のみなさんの力だと思います。

これからの私たちの孤独を埋めてくれるのはやはりAIBO的なアプリなのかも。

2015年4月3日金曜日

039 「大阪俳優市場2015春」 Bキャスト

3つのお話がそれぞれキャストも変えて上演。俳優の卵のみなさんの公演といったところでしょうか。久しぶりの世界館は遠いです。

第1話「おちないリンゴ」
大きな気がある家に住む家族のお話。親がいない兄弟だけの家族。不幸ではもちろんない。周りの人が不幸だと決めつける。親がいないことへの憤りをもう少し深みを増してくれたら面白い作品になるんだろうけど、テレビの昼間やっているドラマのように妙に昭和感というのでしょうか、「くさい」芝居が多いように思う。誰がどうのというレベルではなかったかな

第2話「Antique Android~「未来」の「思い出」~」
アンドロイドが各家庭に召使いのように存在している世界。旧型のロボットを使用している主人公、そのロボットにはどうやら「思い出」があるらしい。それは昔、主人公と出会った時の思い出。
アンドロイド役を演じたお二人が印象に残りました。主人公役をされた方も素朴な役柄で良かったように思います。物語としては、3つのお話し中、一番好みでした。
観ながら、手塚治虫の火の鳥に出てくるロビタを思い出しました。

第3話「ザ・パイセン~アッパーチューン2015~」
一世を風靡したバンドに影響された人々を描く物語。きっとスゴイバンドだったんだろうなとは思います。その背景があんまり分からないまま、解散した今も熱狂的になっているファンを通じて、バンドのメンバーがどうなっているのかが描かれていきます。
以前からもそうですが、テレがあるなら舞台あがらなきゃいいのになんてキツイことも思いながら観ていました。物語としては一番分かりにくいというか背景が描かれなさすぎで共感度が低いまま終わったところでしょう。3つのお話し中、オープニングの演出は期待させるものがありました。

総じて、これから俳優としてどこかで出会える方もいらっしゃるのでしょう。それをまた楽しみにしています。

2015年3月22日日曜日

038 W.Strudel「薫風」

戦国時代に生きた人たち(織田とか今川、徳川ね)の物語に町民が交ざって、人の魂(この作品では一人の女性)が思いが残っている町にある千年桜にまつわるお話です。

始まりがクライマックスの要素があり、期待しました。
それは面白かったです。特に織田信長演じる菊池さんの迫力は見事でした。竹村さんも流石の安定っぷり。有北さんの真面目なお姿も個人的には良かったです。

しかし、残念、踊り、演技、ストーリー、殺陣など盛り込みすぎで2時間20分のお尻の痛い観劇。
ひも解くと、一人の女性を愛した男とその兄、そこに戦国の世が合わさり無常かな女性は亡くなり、思いは千本桜に残り、それを守ろうとするが、そう簡単にいかないといった実は単純明快な物語です。
長く感じさせる要素にいくつか考えられるのですが、大きくひとつは物語が細切れすぎる、転換が多いし、ダンスが多いし、そこに殺陣、シーンが変わるたびに気持ちが物語が途切れる。もったいない。(噛むことが多いのは、それほど問題ではない)

ラスト付近で、どうこの話を着地させるのだと思ったら、説明(ナレーション)で終わらせる勿体なさ。これは演出ですね。わんこそば、終わらない演劇でした。

2015年3月21日土曜日

037 MONO「ぶた草の庭」

一度は観てみたいと思っていた劇団で、やっと観れた。
軽快な会話に重たいテーマがぶっ飛んでいく。
こんな生き方がいいなと思いました。

難病(感染病かどうかは定かではない)で隔離された島で住む人たちの物語。
受け入れられない苦しみを心の中に秘めながら生活をしている。新たに仲間(病気になった)に加わり、また生活が変化してくる。生きること、死ぬこと、それを自分に置き換えて考えてしまうとても素敵な舞台でした。

病気、民族、夫婦、出会いと別れ、僕には思いつかないテーマも含んでいたように思いますが、一番ぐっとくるのはラストシーンでした。

自分でもどうしたらいいか分からない、未来のない世界で叫んだって怒ったって変わりようのない生活。静かにしていれば終わる変わりようのない世界。
怒って過ごすより笑って死にたい、それじゃダメなのか。

未来が語られた時、自分は未来なんて考えたこともなかった、考えようとも思わなかった。自分の中の何かが壊れた。

たどり着くまでの背景がほんとに秀逸。生で観るべき作品でした。

2015年3月19日木曜日

036 劇団Patch「SPECTER」(ネタバレあり)

【千秋楽終了のため、下記にネタバレ追記】
待っていましたTRUMPシリーズ。今から6年前の初演「TRUMP」を観に行っていた僕にはたまらない物語でした。今まで語られなかった秘密や物語が散りばめられていて、興奮が冷めやらぬまま帰路につきました。

僕が観劇にはまった理由の一つが作演出の末満さんのピースピット(泰平堂もありましたね)なのです。この件は長くなるので語りません。

SPECTERの物語を書きだすとネタバレだらけになってしまいますので、楽日までは何も書かずにおきます。そうしないと面白くないのですよ。特にTRUMPシリーズファンにとっては。

劇団Patch自体を観るのは昨年の稲田さん作演出のPatch八番勝負「逆さの鳥」以来になります。その前は「岩窟少年」です。最初に「岩窟少年」を観たときは、それはもう、正直もう観に行かないと思いました。
それから、関西小演劇の舞台で劇団Patchのみなさんが客演で出ている姿を観て、あっ観れるようになった(上から目線のつもりはありません)と思うようになり、演出が稲田さんならばと2回目の観劇に至り、今回はそれはもう末満さんが推している感をすごく感じたことと、TRUMPシリーズですから即時予約して3回目に至ったということです。

劇団Patchのみなさん、もちろん役者として力をつけているなぁと思ったのですが、とにかく脇を固める客演のみなさんですよ。いるといないとでは重みが違います。物語にぐっと入り込ませてくれる「きっかけ」や舞台の安心感は客演のみなさんの力だと僕は思いました。

久しぶりのTRUMP世界。たあっぷり堪能できました。また楽日にネタバレ込みで追記します。
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千秋楽が終わりましたね。(2015/03/24)
ファンのみなさんはクラウスの登場に度肝を抜かれたのではないでしょうか。(観ていない人は何とかしてTRUMPを見てください)
SPECTER中盤くらいに出し惜しみしたかのようにフードをかぶって登場。この時はまだ今回のお芝居のネタが一つバレルくらいだろうと高をくくっていました。
そしてフードを脱いだらそこにはあの「クラウス」がいたのです。もう驚きでした。初演のクラウス(山浦さん)です。
一瞬何が起きたのかと静かなシーンなのに「うぉっ!」と声に出そうになるのを何とか抑えました。
ここからはヴァンプの世界です。一気に物語に引き込まれていきました。
TRUMPシリーズを観ている人にとってはネタが次から次へと登場してきます。物語についてはとても僕が読み解いて語れる筆力がありませんので、書きませんが、壮大な世界観で描くヴァンパイアの物語に見事にはまってしまいました。

前記にあるように、メインとなるPatchのみなさんよりも脇を固める俳優陣の力は大きかったと思います。山浦さんはじめ早川さん、今津さん、丹下さん、いい意味でも無邪気な若者たちを説得たらしめたのは客演のみなさんだと思いました。特にPatchのみなさんをアイドル視していない人たちにとっては物語の安定感と演技力による引きつけ感はたまらないものがあります。このセリフを待っていたんだ、この空気感なんだよ、と思うシーンには全て客演のみなさんが存在していました。

まだまだ続くTRUMPシリーズ、次回にも期待しつつ、出会えたことに感謝します。

2015年3月16日月曜日

035 かけっこ角砂糖δ「平々凡々サイクロン~デルタウロスの帰還」

2015道頓堀学生演劇祭、スケジュール的に最後の劇団。
東京からやってきているので、早々観れないので、優先して観に行きました。

ファンタジーだと思って楽しみにしていた分、青春物語だったのは拍子抜けでした。チラシがね、面白そうだったのに残念。
ファンタジーに夢中になった子どもたちが大人になってファンタジーを追いかけなくなってしまった。それでも一人ファンタジーを空想を追いかけている。彼はそれが仲間の証だと思っていた。だから空想を追いかけなくなった仲間は仲間じゃないという悩み乗り越える青春ものだったのでしょう。

出てくる役者さんの演技が今まで観てきた他の学生劇団よりうまいというのが僕の感想です。突出して誰かがうまいというよりも全員がうまいのです。そういう演劇は当然面白くなる。

振り返ると物語自体は単調だとは思います。しかし演出のいくつかには胸が躍ったり、感動したりしていました。
学生だからしょうがないとか学生を言い訳に僕自身が勝手に思っていましたが、このレベルまで出せるのなら、それは言い訳だと自分で気づきました。学生だからとかは言い訳にしたらダメですね。反省します。

また観たい劇団です。

034 ニットキャップシアター「カムサリ」

伊丹アイホールの舞台を巧みに使うなぁ。
音も生音を使いながら物語っていくのが巧みで、
演劇のライブ感がすごく伝わってきて、爽快でした。

古事記の「黄泉比良坂(よもつひらさか)」と「大国主(おおくにぬし)」の話を題材にしているとのこと。
しっかりと古事記を読んだことがないので、どんな話なのかはなんとなくしか分かってないのですが、そこは当日パンフに説明していてくれたので、作品を楽しむのに役立ちました。こういう丁寧さがうれしいです。

台風が吹き荒れる日の団地で起きている出来事が死後の世界と産まれる前の世界を行き来する。一見小難しく暗くなって古臭くなってしまいそうな物語が見事にエンタメになっているので、観やすいし面白いし、観に行けてよかったです。

特に生音。情景や心象をいろんな楽器や道具を使って表現しているのですが、心地よい。情景は台風だし、死後とかだから暗くなるのかと思っていましたが、暖色系の舞台になっていて、想像を超えてあったかい気持ちになりました。

2015年3月15日日曜日

033 追撃☆ニトロ「逃げる五右衛門」

再演です。映像でしか拝見していないのですが、その時の印象とは違っていました。

斬撃☆ニトロが解散して1年くらいでしょうか。
久しぶりに観るニトロの役者たち。
主宰と副主宰が抜けての舞台となったので、どうなるものやら、思い出作りのためにやろうとしているのではないかなんて勘ぐってしまっていました。

2代目五右衛門が亡くなって、次に指名されたが背負うものの大きさが自分にあっているのかどうかも分からない五郎、そんな五郎にひょんなことから恋する姫、それをとりまく多くのキャラクターが入り乱れるどエンタメ作品。

一歩前に、今よりも前に進むための作品。作品は完結していますが、実は解決も答えもなかったのではないだろうか、これから先に進むために必要なこと(特に元斬撃☆ニトロの役者さん)だったのではないだろうか。その姿を観客のみんなに見せたかったのではないだろうかと観劇後思っていました。
特に追撃☆ニトロの主宰で主役の後藤さんの覚悟のようなものを感じた気がします。

どエンタメ作品としても、ラストのシーンは印象的で、対照的に見せる手法は好みでした。
前半はセリフが飛んでいるのかどうか分からないのですが、妙な間が出ることが役者さんみなさんにあり、違和感を抱えながらみていましたが、後半の勢いは気持ちよく集中して観れて良かったです(中盤は中だるみしました)。

さて、この作品に出ていたみなさんはこれからどうするのでしょうか。できればまた舞台の上の姿を観たいと思いました。

2015年3月13日金曜日

032 劇団ZTON「オルタソフィア-憂国の革命因子-」

やっと観ることが叶いました。劇団ZTON!お噂ばかり伺っていたので、その点でも期待していたところです。

革命とは何か、人工知能エレフに生活のすべてをゆだねてしまった国で起きる官僚、公安(警察)、革命軍と貧困街に住む人々を巻き込む革命の物語。

ごっつエンタメです。前に観たKING&HEAVYを思い出しました。勢い!
殺陣が多くて見ごたえがありましたが、多すぎて大変だなぁとふと現実に戻ってくるのですが。

物語として革命を起こす者たちのきっかけに3つのステップがあるということが分かるのですが、最後の3つ目のステップが非常にもったいないと思う。貧困街の描き方をもう少し丁寧にしてくれたら共感度もぐっと増すのに、もったいない。やはり1つ目2つ目の流れから3つ目は何来るんだろうかと期待した分、拍子抜けになってしまいました。そこは、貧困街の描き方でしょうね。貧困の実感をわかすためのエピソードがあとひとつあれば深まったのではと思います。

会場の京都府文化芸術会館は初めて行ったのですが、少し小さな市民会館という印象で、もちろん小劇場としては広いところでした。
そこでの舞台の使い方って本当に難しい。何度か他の演劇でも会場のことを書きますが、広い場合の使い方ですよね。
おそらく稽古場でも想像していたよりも広いのでしょう。端から端への移動、客との空間距離感、全体を観たときのバランスなど、実際に使って試さないと分からないことが多いのではと思いました。
声の届き方、音量、照明の当たり方、いろいろと改良点があると思います。

おそらく殺陣の稽古は相当されたのではないかと思います。それくらい完成度の高いものを見せてくれていました。惜しむらくは、役者同士の距離感です。これは時間を割いてないのではないだろうかと思いました。うまく言えませんが、役者と役者の間や関係性が垣間見える様子であったり、設定されているものが見えてくるには後少し足りないと。

それでも最初に書いた勢いですよ!ぐっと魅せきるところが魅力なのだと思います。どうぞ突き進んでほしいとも思いました。

031 劇団エルシノア「わが町レイリーテイラー」

不安定さの中で生きる人たちを描きたかったのかなぁと勝手に解釈して観ていました。
自殺幇助をする人、自殺志願者、今と違うことを体験したい人、今を変えようとする人、病気の人、それぞれの狭間で苦しむ人たちを素直に描き切った作品。

舞台が素直すぎて、好きなようにしたらいいのに。演劇という枠みたいなものが見えてて、それがいい風に受け止められればいいんだけど、教科書通りというか、そこが分かると冷めていきます。

自殺幇助の設定は非常に好みでした。葛藤を抱えたところなんて、ブラックジャックのようにも思えて、大切なものを見失わないように必死に生きている姿は面白かったですし、印象に残りました。

残念だなぁと思ったのは町の設定です。最後に日本だったとばらしてしまうのですが、そこは誰も知らない町レイリーテイラーで良かったのに。

また違う舞台で出会いたいなぁと思う役者さんも多かったように思います。

2015年3月7日土曜日

030 満月動物園「ツキノウタ」

タイトル通りの「ツキノウタ」
唄が前面に押し出されています。
主人公最後の走馬灯。どんな景色がそこにあるのか。

生きていて良かったんやろうか。
僕はここにいて良かったんやろうか。
あなたにとって僕は必要な存在やったんやろうか。
何気なく生きてきた自分に死は突然訪れる。

おなじみのオープニングで幕があけ、
いつもの死神がやってくる。疫病神も貧乏神も訪れる。
家を追い出された主人公が母親、妹、恋人、果ては自分の子ども、孫にまで走馬灯の中で出会い、ボク、生まれてきて良かったんやと気づく物語。

始まりは適度な笑いで、中盤が少しだれて、後半にかけて盛り上がっていきました。

主人公が死の間際の走馬灯で生を赦され、認められていくところに、この物語の面白さがありますね。ラストの月明かり(薄明り)の中の唄が印象的でした。

2015年3月4日水曜日

029 モンゴルズシアターカンパニー「鼠」

火曜日のゲキジョウより。

暗い。そう評価され神奈川で開かれた劇王という演劇イベントでは観客からポイントをもらえなかったそうだ。

駅のホームの下、レールのあるところで電車に引かれた自殺者を探す二人の先輩後輩駅員。死体は見つからない。先輩はこの仕事をしている自分に苛立ちを感じつつも、自分自身と死んでいった人、ホームで残る乗客たちとの差を考える。

演出が素晴らしいのだと思うのだが、演じる役者が先輩後輩の関係性や人の差をよく表現できていて、面白かった。気持ち悪いホラーみたいな作品ではあるのだが、濃密な30分。
ただ気持ち悪くなったので、そりゃ票は集められないわなと思った。

029 劇団冷凍うさぎ「あくびの途中で」

火曜日のゲキジョウより

暗転。冒頭から机を挟んで女が男の頭をブロック石で叩いている。それをみつめる二人の兄妹。

基本的に、これでお終いの物語。死にたがりの親と既に死んでしまってる兄妹。そして何故かカニがいる。その説明を30分弱している。途中であきてしまう。

死を表現することは演劇などで多々あるのですが、淡々とそれはもう淡々と会話が行われ、死んでいく。死に必然性がない。必然性を求めるのが悪いのだろうかとも思う。

ストーリーテラー役の兄妹とカニが面白さを決めるポイントになるんだろう。全国学生演劇祭にもっていく作品だということなので、そのポイントに重視をおいてみせてはくれないだろうか。

028 劇団開花雑誌「第三毒奏」

少年院から脱走計画を企てるも失敗する話。
一言でいえばそんな物語。19文字で表現できてしまう世界をどこまで広げられるのか。広げ方をあれやこれやと盛り込んで提供する。時に芸術的に、時に演劇的に、時に暴力的にといったところか。

夢の世界から始まるのだが、訳が分からないものがいよいよ出てきたかと胸を躍らせたが、夢の話が終わると普通の劇に戻ってしまった。残念。

主人公の心象表現を足を踏み鳴らすことで表現するのはいいし、リズムをとるのも悪くない。ただ長い印象を受ける。しつこいなぁ、もう!セリフが聞こえない!と音が鬱陶しいと思ってしまった。

演劇を観ていると、セリフを噛んだりすると「何で、噛むんだ」と気になってしまう時と全く気にならない時がある。この作品でいえば、代表的なのは主人公の長田さんが噛んでも気にならないのに、精神科医役の吉原さん?が噛むと気になる。役者の本気度、役への入れ込み度なのかと考えている。これ、代表的な例ですし、僕の観点です。

感想でも割れるところだとは思いますが、キスシーンがいるかどうかも気になる。必然性がないでしょ、この作品には。説明が多すぎる。前半が良かっただけに、キスシーン含め後半の説明の多さといったら。観客はもうほっとけば勝手に想像するし、いらんねん。

少年院でキャベツを育てているのだけれど、そのキャベツが比喩的に使われていたのは良かった。比喩的が抜けるシーンはいらなかった。踏みつけた時点で比喩がなくなり、ただのキャベツになり下がった。

主人公が少年院に合流するまでが良かったな。それまで殺人や死というものを丁寧にしてきただけに、後半は蛇足。全くすぐ殺したがるし、死にたがる。

追記
本日(3/4)で上演が終了したので、追記。
最後のシーン、キャベツを人間の顔に模して落とすことで終演します。さて、これをどう見ましょうか。コミカルに終わらせたというのでしょうか。現実とはそんなものだとみせたかったのでしょうか。軽い、あまりに軽い、蛇足で安易だ。

2015年3月2日月曜日

027 KING&HEAVY「東京ブラストーリー」

ブラジャーが戦争兵器の一つとして使われ、チャコールVSシュリンプと分かりやすい対立構造に互いの兵士の恋愛を絡めつつ、ロミジュリよろしくな展開へと発展していく心中物語。

脇を固める川添(テノヒラサイズ)さんが安定感をもたらし、亀井(カメハウス)さんが若手を引っ張っていく。若い人の作る演劇にありがちな下手さ具合は、そこで消化してくれていたように思います。

王道の真っ直ぐストーリ(ひねりはない)を飽きず観れたのは、テンポの良さであったような気がします。もちろん音照のズレやバリエーションの少なさに飽きるんですが、気持ちでもっていっている感はこちらにも伝わってきて気持ちよかったです。

これから自分たちの色というものを見つけてもらって、また次にどんどんと打って出てもらえると嬉しいなと思います。上から目線ではありませんが周りの大人に振り回されず、自分たちが見せたいものを見せたいようにガンガン来てくれることを期待します。

この劇をみていても思っていたのですが、どうも最近男性が書く本は男が思う理想の男を描き、こうであってほしい女性を描きますね。ジャンプに登場するような。いいとは思うのですが、既に使い古され飽きてる自分がいるなぁと思いました。

026 ユニットまいあがれ「そこはかとなく優しくフィット」

高校生と塾の講師の女二人が繰り広げる、タイトル通り「そこはかとなく優しくフィット」していく物語。片思いが両想いになる様子を可笑しく見せながら、それぞれが抱える悩みが気持ちよく解放されていく。

彗星マジックの米山さんと中嶋久美子さんが本当にいい組み合わせで、Sっ気のある中嶋さん、Mっ気のある米山さんがはまるはまる。

基本的に罵ってくれる中嶋さんをみながら、あぁ僕も言われたいと思い、米山さんの可愛さたるやに癒される。二人の会話に引き込まれていったのですが、これは本も良かったのかと思います。書かれた室屋さん、お見事です。

人って一人では生きていけない、誰かを好きでいたいし、好かれていたい。共依存したっていいと思う。本人にとって重たくないのならそれでいいのだろうと思う。

この日、帰り道、演劇は僕の生きる活力のひとつなのだと確信と感謝をしたのでした。

さて、私のことを知っている人は良くご存じだろうが、私の観劇において「彗星マジック」「勝山修平」「米山真理」ははずせない存在なのです。強くお勧めしてしまいますので、悪しからず。(ほんと、一度は観てください。)

2015年2月27日金曜日

025 劇団サニー「みるきーはわかってくれない」

2014年8月に森林浴で共演(といっても、絡みはほぼない)した玉澤千歩さんが率いる劇団サニー。
こっそり稽古場にもお邪魔していましたが、その時から何を創っているのだと思っていました。

ゴミばかり拾って何かを見つけては嬉しそうな女の子。それに現実を突きつけようとする女の子。これからどうしようかと悩む女の子。人とうまく関係を作れない女の子?(おばちゃん)。空気でできた女の子。女の子だらけの物語。

全部一人の頭の中で行われている話なのではないかと途中から思い出してから抜け出せずに観てしまっていた。
ドアという存在が閉鎖された空間で起きていることだと思わされたし、開いては閉まりを繰り返すことが、まるで異質なものが登場してくるかのような息詰まり。

それぞれに思い悩む女の子が、妙にふれあい関係をもつ。唯一、絡みの少ないのが現実を突きつける女の子。最終的には自らこの世界に私は必要ないと去っていく。

時々出てくる男性像がまた大切な存在のようで疎ましい存在のようで、僕からすれば腐った男であった。ゴミでしかない。そのゴミをあさる女の子は何を探しているのだろうか。

ゴミの存在感たるや、捨てたもの、捨てられたもの、捨てなくてはいけなかったもの、捨てて拾ったもの、臭いと言って消えていく空気の女の子。

もう一人絡みの少ない女の子(おばちゃん)は、諭すように現実を突きつける。気づいたときには遅いんだよ。

素直な私も汚れた私も現実の私も一人だけの私。
これは希望の物語なんだと思う。
閉塞感の漂う中をもがき苦しみ、それでも生きる一人の女の子の物語。

2015年2月26日木曜日

024 Quiet.Quiet「赤色エレジー」

1970年代始めの過激派左翼運動にかかわる若者の物語。
優しさの中にナイフを隠し持って、現代の自分を持てない若者像を浮き彫りにしているかのような悲しく腹が立つ創り方になっている。

年数が舞台上に映し出されるのですが、正面2列目からも見えないので、キョロキョロしてしまいました。こるのはいいが、客には優しくない。サイド席の人は見れたのでしょうか。「見えない」ストレスは嫌いです。

僕自身生まれていない時代なので、内ゲバといった暴力的な行為をしていたことはリアルには知りえない。

腹の立つほどの情けない男を佐々木誠(匿名劇壇)さんが実に情けなく滑稽に演じ切っているのは得意技のようにも思えてきた。
呉城久美(悪い芝居)さんのどこか色気のある女は魅力的に映る。
僕の中ではこの二人の物語だ。

物語は淡々と進んでいくのだけれど、最後に出てくるパーティーガールが他人事のように三人(もう一人運動に暑苦しい男がいる)を馬鹿にする。何を馬鹿にすることができるのだろうか。自分の胸に手をあてて、自分のしてきたことを考えてみろと言いたいばかりに怒りが込み上げてきた。

今を生きる若者を誰が馬鹿にできるのか、必死に生きようともがく人を笑う権利がやつらにあるのか。このお芝居を観て、強く思うところです。

023 Creative Group パプリカ「偽りのシンドラー」

杉原千畝を題材にしたストレートなお芝居でした。
名作「シンドラーのリスト」を思い出しながらの観劇。
よく言えば丁寧な、悪く言えば波風の立たない物語。

ダブルキャストを採用していたみたいなので、もう一つのほうと見比べることはできなかったのですが、若さが前面にどうしても出てしまっているので、自分たちより齢が10歳ほど上をいってしまう演技は難しかったのではないでしょうか。

他の演劇でもそうですが、思ってしまうのはチラシの踊り文句のほうがよっぽど面白くとれてしまうことがある。この作品もその一つだと思います。

修羅場ほどの修羅場は感じず、父と娘の家族との距離感はそれほど近寄らずでした。
杉原千畝への敬意というのでしょうか、愛は感じられたような気もします。

気になってしまったのは、音響のミス。単純ミスもありましたし、タイミングが悪いもあり、あぁお芝居なんだなとのめり込むことをストップさせてしまいました。残念。

2015年2月23日月曜日

022 THE 2VS2「大阪24区」

第24回公演で「大阪24区」となるとは、偶然が素晴らしい。

チャレンジングなコント集で楽しめた。
リバーシブルという結局エロイ作品なのだが、セリフを逆回転させて成立させるという面白さには舌を巻いた。
どんな題材もコントにしてしまう姿勢にも関心するし、なにより役者が本気なのがとても好感をもてる。

僕らこんなんできますけど、いかがですか?という6つの作品が気持ちの良い笑いとなっていて期待に応えてくれる。基本的に笑いに厳しいと思っている自分が面白い笑えた!となっているので、2VS2の舞台はまた観たいと思う。

作品とは関係がないが、宣伝がいつもうまくいっていないのではないかと心配になるし、借金の話なんか聞いた日には、せめてもうちょっと宣伝に力を入れるなり、なんか方策を立てればいいのにと勝手に思ってしまう。

良作を生み出す力とそこは比例しないものなのだろうか。
借金を増やし続ける劇団THE 2VS2、今後に期待したいし、どうぞ借金で首が回らなくなって解散になったとしても解散公演をうってでてもらい、タブー視される題材にメスを入れて去っていってほしい。

021 劇団ズッキュン娘「グッバイマザー」

親子の関係を明るく元気に描いた作品。母と娘、取り巻く女子高生たちと先生。お母さんとはどんな存在でしょうか。

DNAが引き継がれているから似るということが何度か出てくるのですが、僕は似るのは顔や体系だろうと思っていて、性格は影響されてしまうから似るのだと思っています。

お話自体はドッタンバッタンの直球勝負。別の舞台で観たことのある役者さんが何人かいらっしゃり、若い人たちの勢いで楽しんだという感想です。

舞台と客席がやたらと近い位置ですので、正直目のやり場に困る。それでも真っ直ぐ向き合って芝居されているので、ここは覚悟して観ようと途中からなりました。

女子高生であっても何歳であっても親から見れば子どもは子ども。関係性は変わりませんし、深くもなるし浅くもなるかもしれない。それでも母親は母親で、自分がここにいるのは親がいるからだなぁと自分の母親を思ったのでした。

020 「大大阪舞台博覧会(2/21)」

6つの劇団やユニットが15分作品を提供してくれる博覧会。こういう機会はそれほどないのでお得感があることと、これまで観れる機会がなかったところと出会えるのが嬉しい。
少し長くなるかと思われますが、一つ一つ感想を。

■ユリイカ百貨店+サギノモリラボ「BALLOON」
風船運びと興味をもった女の子?、風船運びのボス(声のみ)がパフォーマンス仕立てでファンタジーな世界を創りあげていました。音や明かりを楽しませてくれるのと、パドーマンスがしっかりしていて見飽きることがありませんでした。
風船も綺麗な道具となって視覚的にも楽しめる作品です。風船で遊びたくなる気持ちにさせてくれました。

■笑の内閣「和民殺人事件」
笑の内閣は何度か舞台では観ています。時事ネタが売りの演劇ですね。タイトルを聞けば、おのずと内容が分かるのでいいのですが、あの速さで滑舌が悪いと何を言っているのか気持ちしか入ってこないという状況で何に笑っているかといえば自分の知っているブラックな想像で笑えているのでしょう。相変わらず時事ネタの扱いは面白くても演技は下手だと思いました。演劇というより討論会に向いているのでしょう。

■森林浴「カニのあし」
森林浴は私が2014年8月に出演させていただいたユニットで、「カニのあし」は出演しておりませんでしたが、けいこ場によくお邪魔して観させてもらっていました。そのリメイク版といったところ。
もともと気持ちの悪いやり取りが続くし、存在感が異質なキャラクター達ですので、解釈の仕方が人によって変わるところに面白さがあるのだと思います。
登場してくる母親と娘、幻覚のような軍服を着た男。白線を引いて「この空間」で起きていることですと言っているかのように感じます。これは誰かの頭の中なのか。
色、物質、食、肌感、母と娘のすれ違う会話が病的で気持ちが悪い(褒めています)。軍服来た男が嫌なタイミングでかかわってくる気持ち悪さ(褒めています)。僕は人が好きで嫌いになりそうです。

■かのうとおっさん「かのうとおっさんコント傑作選」
すごい金持ちの洗脳技術をもった中学生田中君と変な友達のかみ合っているのか分からないコント。この作品を観るのは二回目。知っているだけに前の時のほうが音のタイミングあっていたなぁと思いながらの観劇。笑いを待つのが苦しい。もっとアドリブをきかした作品に仕上げてくれれば面白いのにな。設定は厨二病みたいで、安っぽいB級映画のようで面白い。

■南河内番外一座「ヤング」『父帰る』
観た順番通りに書いているのですが、ここで私の頭は眠たさピークに達しました。グルグルグルグル舞台を走っている人たち。物語急に始まります。出ていった父が帰ってきた、さぁ家族それぞれの気持ちの距離ができているぞ。さて、どうする。そんな話。実に演劇的だったとも思います。中盤不覚にも記憶が飛んでしまっていて、間違っているやもしれません。南河内万歳一座は一度観たいとおもっていたので、その参考になる作品なのだろうか。番外だしヤングって書いているから、また全然違うものだろうか。今回の作品であれば、僕は次回何かいい機会がない限り観に行かないと思います。

■無名劇団「無名稿 あまがさ」
6団体最後の劇団。オノマトペを使用し雨の音などを表現していました。6劇団の中でうまく世界観を創りだしていたのではないでしょうか。おそらく他の観客の評価も高い作品だったと思います。若い男と女の心中物語をあらすじを語るかのようにみせきった。無名劇団の前回作品を観ていたので、その時の作品よりも面白かったと思います。棒読みであったり世界観をいかせないなぁ、なんとかならんものかと思うこともあるのですが、よくできた作品だったと思います。いくつかのことを差っ引いて次回作品に期待したいと思いました(今作品は應典院で開催されるスペドラの前哨戦らしいです)。

019 カミシバイ「だいたい源氏物語」

期待を大きくせずに臨むことに決めた道頓堀学生演劇祭。
これが中々に面白かったです。メタを多用するので混乱を招きますが、そこは観る人が感覚で好きなように解釈したれと思う。

源氏物語自体はそれほど分かっていないのですが、とにかくもてる男が女を次から次へと口説いていくというイメージ。

このお芝居の中で登場するヒカルはどちらかというと理想の女性(子ども扱いしてくれる)を追いかけている感じでイケメンな様子は無い。

タイトル通りだいたい源氏物語を下敷きに登場人物たちが描く「好き」の意味・意義を問いながら、演劇なのか映画なのか現実なのかをメタで繰り返し表現されていく。第3章だったかと思いますが、一番観客がダレル時間帯に音・照明・役者で盛り上げるシーンは楽しめた。その分、メタを多用する後半は疲れたのでした。

役者さん自体がどうこうはないのですが、本と演出が面白いのでしょうね。魅せきってくれたと思います。学生演劇でよくある内輪受けもありませんでしたし、それだけ世界観がしっかりしていて観ているほうものめり込んだ作品と言えるのだと思います。次回があれば、僕は観に行きます。

018 「地球戦士ゼロス~光と闇のクロスロード~」

知らなんだ。こんなご当地ヒーローがいたなんて。
観終わって、パンフレット見て、分かったわ。
環境破壊を許さないのね。
そんな自己紹介もあったかと思うけど、ストーリーには関係なかったような、気がする。

ヒーローショーのデラックス版です。ストーリーが大人より。時間の止まった世界に飛ばされたゼロスが、その世界のもう一人のゼロスに出会う。時間が止まっているせいで本来の力が出せないゼロス!さぁどうする!!!

演技上手な役者さんが中心に繰り広げてくれるため、安心感を持って観劇。久しぶりに客演でハッスルしている小永井さん(彗星マジック)が素敵でした。
米山さん(彗星マジック)は相変わらず幸薄な役で。。。

殺陣が非常に見ごたえがあって、よくできている。さすがヒーローショーから来ているだけあるなぁと思っていましたが、おそらくお芝居用に作られているところもあるんだろう。

安心して観れることが何よりでしたし、普段会わない層のお客さんが新鮮で良かったです。お芝居の空気感できてましたし。終了後のチェキ撮影には、さすがヒーローだと思いました。

2015年2月18日水曜日

017 遊劇者chiko「ランナー」

高校野球、甲子園を目指す若者たちの物語。ドストレートな展開に140分の大作。
長い。ただただ長い。学生の身内感たっぷりの中の観劇であった。

前々回のものになるのだろうか、2回目の観劇。

物語は感動的な青春ものでそれでいいとは思う。
それでいいんだが、140分になった理由がわからない。
140分観ておいてあれだが、印象に残るものが最初と最後の
合唱シーンだけとは。それ以外はいらないものなのか。

場面転換のあり方が雑すぎるというのか、それ以外
思いつかなかったのかというのか、多すぎて物語に深みが増さない。
いちいちこちらの気持ちを途切れさせる。

これは映画のような展開だった。映画のほうがまだましだ。
舞台は変わるし、時間軸だって服装も変えることができる。

舞台でそれをするためには仕掛けが必要で、
役者が引っ込んでは、違う役者が出てきて「はい、次はこの二人の話」と
されてもあっちこっち行き過ぎて、途切れる気持ちをどうしてくれるのだ。

と言いながらも、前回よりは面白くなっている。
この年代の人がやってリアルに見せれるもの(年寄りがやるとコメディになる)。
どんどんいろんな引き出しを開けて、いろんなことを吸収して、
次もやってほしい。あきらめずに観る。

016 浮遊許可証「君はあかつきの星」(2回)

10周年企画の大詰め!ということで、豪華な役者に彩られた舞台。
まずは舞台美術がお見事でした。奥行きのある見せ方、灯篭というのでしょうか
段がついていて奥からやってくる時の見え方は興奮しました。

星たちの物語だと2回観て僕は解釈しました。
恋をテーマに「生きる」ことや「背負う」こと、
光り輝く星たちが残してきたものを思う物語でした。

今まで浮遊許可証の舞台をいくつか観させてもらった中でも
割とシンプルなお話のようにも思いましたし、
「恋」というものの受け取り方が僕はあまかったようにも思います。
「恋」=「生」とは結び付きにくかったのです。

それでも、もうとっくに死んじまった星だってある、昔むかしの光の名残、
ここで観た人やものたちは、もうとっくにいない。それでも輝いている。
光を届けてくれている。地球だって古道具。
なんて素敵な言葉でしょうか。
今ここに僕がいることの奇跡を感じました。
生きていていいんだ、と思わせてくれました。

生きるもの、死んだもの、死にきれないもの、
生ききれないもの、それぞれの物語が胸に残る。

2015年2月13日金曜日

015 フルーツケイク「俺たちはオモチャじゃない」

旗揚げ公演以来といっても3回目の公演なんですね。
とにかく出てくる3人が愛すべきキャラクターで
暴れまくっている印象です。

今回の作品では、
おもちゃの3人がジェニーという女の子に遊んで欲しくて、
あれやこれやと繰り広げていく展開でした。

45分位と短かったのですが、丁度いいような30分でもいいような
気もしながら観ていました。
なぜかというと、こちらの気持ちが持たなくなっていました。
気持ちというか、何でしょうか、飽きてしまったのです。

もう一声というのが僕の正直なところです。
おもちゃのキャラ立てが最初に分かってしまい
(これは予定通りだと思います)、
それ以上深みが増していかない。
設定は単純であるだけに、キャラの爆発力に期待していたのですが。

申し訳ないのですが、途中眠たくなって、気づいたら終わりでした。
役者さんそれぞれうまいのだから勿体ない。

次があるなら、ゆるさと真剣さの差をしっかりとつけてほしい
(もっとです)と思います。

2015年2月10日火曜日

014 火曜日のゲキジョウ オパンポン創造社「大巨人とスタンドバイミー」

スタンドバイミーとは、よくいったもんで、
まさしくだなぁと思いますし、男っぽい作品だと思います。

例えば大巨人はいて欲しい、こんな踊りで来てほしいし、
母親は一緒に冒険してほしい、あの頃僕らはこうあって欲しい
という願望が池から顔を出してくる作品。

宇宙人でも未来人でもきっとなんでもいいんです。
夢のくだりがありましたが、全部夢でもいいのかもしれない。

テンポのいい二人の掛け合いが素敵です。
笑と涙の魅せ方はまさにオパンポン創造社のもので、
得意分野と言いますか、これです俺ら!みたいに魅せてくれる。

夢見る男ってどうですか?女の人は馬鹿いってんじゃないの、とか
疲れきった僕のような男は「大巨人なんているはずないやん」と
兄に弟が言うように観てしまっているかもしれない。

あの頃に戻りたいけど、戻れない。
ほんとスタンドバイミーとは、よくいったもんだ、の作品です。

014 火曜日のゲキジョウ お笑いサタケ道場「野試合ガール」

in→dependent theatreがプロデュースする火曜日のゲキジョウ。
30分×30分の劇団対バン形式(一部違います)。
僕の中では、私たちこんなお芝居やっていますよぉ~という団体紹介と捉えている。
お試しでいかがですか、面白かったら、本公演も来てください、みたいな。

個人的事情ですが、火曜日は夜に会議が入ることも多くなかなか観に行けない。。。

お芝居を観た回数をカウントしているのですが、火曜日のゲキジョウは1カウントとします。

お笑いサタケ道場のお芝居は本公演を観た事がありません。
昨年の一人芝居トライアルで佐竹さんがチャレンジしたものを観て、
かなり厳しいコメントをしたと思います。

今回の「野試合ガール」は、まさにこんなんやってますという自己紹介。
テンポにしても間にしても笑いにしても、もう少し何とかならないのか。
30分でキャラクターを理解してもらって、笑いにもっていけないものなのか。

戦国武将の名前をもじっているのだから、そのネタは後半に効いてくるはずなのに
1回くらいしかでてこない。設定は悪くないとは思いつつ、爆発的になれないのは
本のチカラでしょうか。あぁもったいない。何とも書きようが難しい。

2015年2月9日月曜日

013 才木典泰ひとり芝居「タイムマシン」

時代が人が生まれ死んで、また生まれ死んでいく。
過去とは未来とは現在とはなんなのだろうか。

タイムマシンというタイトルで、過去に戻ったり、未来に行ったりの
物語だと思ったら大間違いであった。そして、胸をうつ芝居でした。

人が生きて死に、時代を紡ぎ、巡り巡る。
ここにいる私という存在は、多くの過去の私という存在があって、
現在に至っている。そしてそれは私が死んでも未来に紡がれていく
物語であってほしい。
主役は僕であり、あなたである。

上質なひとり芝居でありました。
ひとり芝居とは本当に怖いものだと個人的には思います。
誰も助けてくれないし、嫌でも自分というものが出てしまう。
観客は「あなた」しか頼るものがいない状況で観る。
私はここにいると証明できる人の演じるひとり芝居が面白いと思う。

この時期に、この作品に出会えたことを感謝します。

2015年2月8日日曜日

012 伏兵コード「我が行路」

よくもまぁ、このテーマで作品ができたものだと
感心し、感嘆し、胸が痛くなり、言葉にできない気持ちを
させてくれるものだ。

伏兵コードは以前から大好きな劇団です。(劇団かどうか分かりませんが)
とにかく暗い、テーマが重たい、あっけにとられる。
説明のしにくい気持ちになり、心が揺さぶられます。
そして感動してしまいます。(ここでいう感動は、おそらく感じて動くが主)

我が行路と銘打った芝居、私の世渡りというのでしょうか。
居場所があるのに気付かない人、居場所をなくした人、
居場所がなんなのか分からない人、そこが居場所でいいのか迷う人、
場というものは人にとって、何なのでしょうか。

私はここに生きている。では死んだ人の居場所はどこだろう。
私たちには辛くても悲しくても生き続ける責任がある。
僕自身は、それを強く思っている傾向にあるのですが、
そうした時に生きる場というものは、何だろうか。

外圧から守ってくれる人が場所になるのか、
家という場所が自分を守ってくれるのだろうか。
考えてしまう。自分探しと居場所探しの繰り返しに
きっと答えがあるだろうとさまよっている。
答えなんてないのかもしれない、それでも希望はある。
絶望の中から希望を見出す。
当たり前を疑い、裏切りを受け止め、自分も他人も生きることを認める。
伏兵コードの作品を僕はそんな風に思っている。

閉塞感が漂う(漂っていると思わされている)時代に希望を見出したい。

011 劇団ショウダウン「マナナン・マクリルの羅針盤」

昨年、第26回池袋演劇祭大賞作品です。
失礼な話ですが、個人的にまさか大賞を取れるとは
思ってもいませんでした。

林さん演じる一人芝居はすべて網羅しており、
ものすごいエネルギーで演じていることは、
もちろん知っていましたし、魅力的な素晴らしい
役者さんだと昔から思っていましたが。

前置きが長くなりましたが、再演です。
一人芝居でエンタメといったら、これでしょう!
昨年観た時よりも臨場感と迫力が違うなというのが第一印象。
(ちなみに昨年の僕の観劇ベスト10入り作品です)
http://kangeki1501.blogspot.jp/2015/01/20141025.html

観ている人をのめり込ませる世界観。
これはナツメさんが書く本が秀逸なのだと思います。
エンタメ作品として起承転結のお手本になる作品です。
だから本を読んでも面白い。

これが舞台に、しかも一人芝居になるとなると、面白くないわけがない。
べた褒めしていますが、わがままを言うなら、一人芝居じゃないものも
観たいというのは、前から思ってました。
そして今年の夏にそれが叶うという展開。あぁ目が離せない。

2015年2月7日土曜日

010 かのうとおっさん「うっかり婚活スターウォーズ」

かのうとおっさん作品を観るのは何度目だろうか。
いわゆる本公演を観るのは4回目だと思う。
コントに定評がある劇団で、長編は毎回イマイチ。
今回も正直なところ、イマイチ。

他の作品でも書いていますが、笑いというのは本当にシビアで
笑わせるぞという作りに最初から引いてみてしまうダメな私です。
コントではない限り演劇の上での笑いは積み重ねから産まれる
キャラクターやストーリーの面白さであって、短いコントを積み重ねれれば
面白いかというとそうではない。本当に難しい。

今回のお話は、宇宙に出ました→結婚しないと悪いやつ倒せません→
5対5の婚活始まる→乱入者あり→別に結婚しなくていいこと判明→
ちゃんちゃん。そんな感じです。

畳み掛けるようなコントたちが面白いのかといえば、どうか。
役者の人のキャラを知っている人たちは笑っていても、
初見の人はどうだったのだろう。
本編終了後の若旦那さんの妄想劇場のほうが面白かったというのが
正直なところではあります。

2015年2月2日月曜日

009 遊劇舞台二月病「劣等”LINE」

いくつかのテーマが混在する。
「道徳(これがメイン?)」「罪悪感」「友達」「親子」「恋愛」
そのどれもに劣等でしょうか、線Lineが引かれている。
どこからどこまでがLineなのでしょうか。
そのテーマどれもに個人個人の線があるのだと思います。

二人の男女を中心に中学時代に起きた殺人事件をトピックにして、
久しぶりに開催された同窓会をきっかけに、あの頃の友達たちが
今どうしているのか、元気なのか、関係性は変わってしまっている中
物語が進行していく。

重たいテーマを描いている本は面白いと前作を観た時も思っていたのですが、
前作初日の印象は「声小さい・・・」だったので、千秋楽に観れてよかったのかもしれない。

時々照明が波を表すかのように濃く薄く切り替わるのが印象的でした。
前回から思ってはいたのですが、どうも転換の仕方が気になり、
暗転の使いたかが気になり、衣装のダレダレ感が気になるお芝居でした。
役者と本の力がないと集中して観れなくなってしまったでしょう。

厳しい話で言えば、全体としては本の力でもっていってて、
役者の力といっても、鈴音(寺井幸菜)さん、一人勝ちの印象は拭えないかな。
松原さん、、大地さんが安定を保ってくれているところはあります。

演技力・全体的なメリハリを利かせてくれると観やすくも深みも増すのではと思いました。
次はどんなテーマだろう。そこが楽しみであります。

2015年1月31日土曜日

008 イチハラ会「嘘吐きたちの晩餐」

嘘吐きたちの晩餐、前後を描いている。
タイトルそのままの(いい意味で言っている)展開に
作演の性格が見えてくるような作品。

優しい嘘もあれば、傷つける嘘もあると思うし、
確かに日常的に嘘をついてしまうということは正直ある。
元気ないのに元気とかね。

この作品ではこうであってほしいという願望の様なものも感じた。
どんな嘘でも、それが相手にばれた時に、その相手がどうでるかに
よってくるし、ばれるタイミングや場面があって、良きにも悪しきにも流れる。

完璧な人間なんてありえないし、いたら気持ちが悪い。
笑ってすっとばす人間らしさもあると思う。
重たい話なのかもしれないのに、軽い気持ちになった。

イチハラ会主宰の櫟原さんは東京に行くとのこと。
また帰ってきて、嘘や毒を吐いてほしいと思う。

2015年1月25日日曜日

007 彗星マジック「ポストグラフ」(2回)

新印象派として有名な画家たちの物語。
事実と想像の入り混じったファンタジーで
彗星マジックしかできないものを創り出している。

それは絶望と希望、悲しみと喜び、怒りと幸せ。
音響、照明、衣装、美術、どれをとっても必要最低限なもので
時に優しく時に厳しく観ている私たちを引き込んでいってくれる。

物語はもちろんあるんだけど、誰が主役とかキーパーソンだとか関係ない。
ただただそこに生きている人が描かれている。
きっとそうだったんだろうなと目の前で手の届く距離で紡がれる。
役者みなさん素敵でしたが、印象的に残ったのは耽美さんと竹田さんでした。

お嬢さまと召使いの物語。
一緒に住む画家たちの物語。
背景に潜む政治的国の物語。

僕は美術に疎いほうで、ゴッホだとかゴーギャンだとか名前は知っていても
作品はそれこそ「ひまわり」位しか知らない。
一緒に観に行った人が、美術には僕よりも知っていて、観劇後色々教えてもらった。
耳切っちゃったんだ。ああやって死んじゃったんだね。実は男なのに女だったとか。
まぁ知っていても知らなくても伝わるものを作ってくれているので安心。

演劇は生で観るもんだと誰彼も言うけれど、DVDで見たって、そう変わらないんじゃないか
そんな演劇は存在するし、生だろうがDVDだろうが面白くないものは面白くない。
彗星マジックの舞台は必ず生で観てほしい。絶対だ。

彗星マジックを愛してやまないのは、絶妙な具合で物語にのめり込ませる要素が
多分に含まれているからだと思う。知らなくても問題ないけど、後で調べたくなったり、
想像の余地を常に観客側に与えてくれる心地よさのバランスが最高なんだと思う。

作演の勝山さんの世界が大好きなんだけど、それを体現する役者さんみなさんが
僕は大好きです。彗星マジックが女性だったら、僕は恋をして求婚するだろう。

今作で魅力的なのは、ラストでした。カンバスの前に並んだ画家たちが絵を描き、
描き続けること、生き続けることを提示してくれている、あの絵だ。
この絵、このセリフが観たかった聞きたかったものとして最高の状態で描かれる。

これだから演劇は面白い。また演劇が好きになりました。ありがとうございます。
そして、大好きな舞台が増えました。

2015年1月24日土曜日

006 プロトテアトル「ノクターン」

昨年、前回の公演「狐の声が聞こえてから」を観た後、
まだ学生の人が作ったものだと知った時、
面白いもの作る若手が出てきていると思っていました。

面白いです。いつも感想に面白いしか出てこない自分を
なんとかしたいと思いますが、面白いです。
まるっきり会話劇なのですが、心地よいテンポで話がすすみ、
飽きはじめそうな時にシーンが切り替わり、物語が進行していきます。
役者さんも良いと思いましたし、小道具の使い方も好みでした。

まず会場に入るとPOPなノクターンが流れて?いた?
POPな曲な事は確かです。途中からラジオ放送のような
DJさながらな放送が流れだします。
そして、気づいたら芝居が始まっていました。

大学生の4人が居酒屋らしき場所で思い出を語っています。
中学の頃です。それぞれ甘酸っぱい経験をしたり、
くだらない時間がとても大切な時間だった、そんな頃の会話です。
時々、回想シーンが入る。これが布石となり、物語の深みを増していくのです。

中盤、中だるみは正直言えばありましたし、初日ならではなのかもしれませんが、
緊張感が伝わってきたので、そこはしょうがないのかなぁと思いつつも、
基本的に面白いので、楽しめました。

もっと回数やったらいいのにとか思ってしまう観てほしい作品でした。

プロトテアトルのみなさんは、
これから大学を卒業されても、演劇を続けていってくれるみたいなので、
応援したいと思います。

005 OIL AGE OSAKA 「D・ミリガンの客」

2015年に入って、やっと安心して尚且つ面白い芝居でした。
なにしろ出てくる役者のみなさんが巧みわけです。
脚本も面白い。

初演は東京で行われていたそうです。

D・ミリガンを訪ねてやってくる個性豊かなお客さん。
それぞれD・ミリガンからの手紙を持っている。
話しを聞いているとみんな呼ばれた理由が違う。
果たしてD・ミリガンとは何者なのか、
どうしてビリーブ・ユーという安ホテルで待合せたのか。

動きの少ない会話劇で、演じる役者さんの力と構成力・演出で
ガンガンと観ているこちら側を引き込んでいきます。
美術も素晴らしかったです。芸創でこんな美術がみれるんだと
その点でも嬉しくなっていました。

登場人物それぞれに見せ場の5分一人語りがあるのですが、
僕は中村真利亜さんと最後の早川丈二さんのシーンが好きでした。

他にも、役者さんの所属する劇団名がセリフに顔を出したり、
タバコの使い方も好みで、手紙のシーン、謎が解かれていく見せ方、
上質なお芝居でした。

初日を観に行ったので、正直、見知っている役者さん、まだまだ
あげていけるのではないかと思いますし、その姿を観れないことに
残念さはあります。

004 コミカルパニック「地団駄ダンス」

第1回目の公演というのに惹かれて観に行ったのと、
時間的にちょうど良かったのがこれしかなかったという理由はありますが、
観てきました。

編集者と作家のやり取りを中心に書き上げる3つの作品が舞台化されている
3部作的なコメディでした。

はっきりというと、何が笑えるのか全く分からず、
演じている役者が面白いと思ってやっているのか分からず、
ただただ耐えて観ているだけでした。

面白くないものを観ている時は(これからも似た事が起きますが)、
寝るか他のことに興味を持つことに走るのですが、
寝るほどのことはありませんでしたが、興味をもてる材料もない。

演劇のコメディは積み上げることからの面白さだと思っています。
だいたい芸人がやるシチュエーションコメディのほうが、よっぽど面白いのに
演劇でコメディやるなんていうハードルの高いことによくも挑戦したもんだと
そこには関心します。ごめんなさい皮肉です。

これ以上は毒舌がすぎるので止めますが、次回があるなら、
そこでリベンジしていただきたい作品でした。

003 トリコ・A 「赤ずきんちゃん」

赤ずきんちゃんをモチーフに登場人物たち、みんながオオカミに見えてくる。
作演の山口茜さんの頭の中はどうなっているのだろう。
まるで絵本の中を観ているような美術に登場人物たちが現れる。
コミカルに描かれる登場人物たち、なんか不思議な関係性のずれを感じる。
段々と恐さが沁みてくる。
オオカミだけじゃない、赤ずきんちゃんは誰?と不思議に思えてくる。
オオカミを作りあげたのは、赤ずきんちゃんを作りあげたのは、私たちではないのか。
そういう意味では、気持ちの悪い芝居でしたし、気分を害しもしました。
演者が巧みなだけに余計にそういう気持ちになってしまいました。
ツイッターで絶賛の声を読んではいるのですが、僕には意味が分からなかったのです。
ただただ恐ろしくて、人間は嫌だ嫌だと思って帰ったのでした。

2015年1月11日日曜日

002 劇団バックラッシュハート「ダブリンの鐘つきカビ人間」

後藤ひろひとさんの作ですね。
ファンタジー色の強い作品で好きです。
これをいかに演じきれるのかが勝負だとは思うのですが。
既出の作品を扱うものでいいと思ったことが基本的にないので、
僕の中では最初から満足度のハードルが上がってしまいます。
若い人たち中心なのですかね。演出の大窪さんは10代ということで
鑑みて振り返ってみます。
まじめなAキャスト、おふざけありのBキャストだったのらしいのですが、
分かっておらずBキャストを観ました。
おふざけありらしいのですが、笑いはイマイチ。
観ながら噛まないかな、でとちらないかな、失敗を心配する観劇。
オリジナルを観ていないので、オリジナルを観たいなと思ったのです。
カビ人間の役は山尾さんだと思うのですが(キャスト紹介の用紙がない)、
きゃな子さん、成瀬さんが安心して観れました。
幕を使っていたのですが、必要性は感じませんでしたし、
音をもっと使えばいいのにとか思ってました。
ストーリーに引き込む力はありそうな気がしましたので、
次回があればそちらに期待したいと思います。

001 無名劇団「ざわざわ、ぞわり」

2015年、観劇初めです。
劇団名は聞いていたのですが、日が合わず観に行けてなかったことと、
予定していた演劇が中止になった(楽しみにしていたので残念)ので、
観てきました。

ひと言でいえばTVでやってる2時間サスペンスドラマを生で観た感じです。
違うのは同じセットでシーンの変わらないドラマといったところでしょうか。

チラシにある通り「ある日突然死んだ先生」と関係する女性たちの
それぞれ抱えたもの抱えているものの感情的な会話劇です。
先生が32歳、生徒が25歳だったと思いますが、観た感じだと
先生50歳、生徒32歳といった印象。
展開も読めながら、90分観れたのは、なんとか演じる役者さんで耐えれた
というとこが正直なところ。

ストーリーはありふれたものだということ、
できれば、結論のその先や対決していた女性たちに
好きなだけやりあってもらったらいいのにと、ひねくれてみてました。
照明・音響あまり変化もなく役者の動きも少ない、
あきらせない工夫はまだまだできるのではと思いました。

2015年1月1日木曜日

2014年 観劇ベスト10(ベスト25になっちゃった)

2014年もありがたいことに感動を届けてくれる作品に出会いました。
全ての作品に、関わってくれたみなさんに感謝します。

ベスト10と言いながら、印象に残ったものを10作品選んだといったほうが
いいかと思います。泣いたり、笑ったり、感銘を受けたり、心が動いた作品です。
※サポートスタッフで関わらせていただいたムーンビームマシン「ゲルダ」は、
 ひいき目が入らざるを得ないのではずしています。

2014年観劇114作品の内、印象に残ったものをまず選んでみます。
25作品まで絞れました。私の好みが分かってきますね。
ここからさらに主観中心に10作品を選びます。
そして、25作品に順位をつけてみました。見事、主観だと我ながら思います。

今年は関西以外の劇団やプロデュース作品が多かった印象があるのと
それを好んで観に行ったということはあります。またこれまで観れてこなかった
劇団の作品、特に若い人たちの作品を観に行っています。

2014年ベスト25~11

第25位 モンゴルズシアターカンパニー「BIER-ビア-」

第24位 時間堂[つながる]ツアー2014「衝突と分裂、あるいは融合」

第23位 米山真理一人芝居「monodrama -モノドラマ-」(3回)

第22位 ATNプロデュース「Replay」

第21位 匿名劇壇「二時間に及ぶ交渉の末」(2回)

第20位 STAND FLOWER「よぶ」

第19位 劇団ショウダウン「錆色の瞳、黄金の海」

第18位 オレンヂスタ「白黒つかない」

第17位 KAIKA「gateリターンズ」

第16位 ねをぱぁくプロデュース「Virgin×7」vol.18! iOTRO「オルタ面接」

第15位 イチハラ会「暗闇のもぐら」

第14位 ムーンビームマシン「月雪の娘」

第13位 N-Trance Fish「KISOU本能」

第12位 Project UZU「PANDORA -Op.3 水の章・大地の章-」

第11位 clickclock「キリコの諷景」


2014年ベスト10

第10位 こまち日和「つぐみ荘のブルース」

おばあちゃんの話なんだけど、亡くなった
自分のおじいちゃんを思い浮かべたり、
生のBGMが胸にグッときました。










第9位 FUKAIPRODUCE羽衣「耳のトンネル」

 一人の男と関わってきた女たちの半生を
歌を中心に魅せきってくれました。
 くだらない男というのは絵になります。










第8位 Theatre Polyphonic「musical「タールピット」

 千秋楽に1stで観たのですが、確か2列くらいしか
埋まっていなくて非常に もったいない作品でした。
3人の役者の巧みさと物語の世界観が本当に
素敵でした。









第7位 劇団ショウダウン 「マナナン・マクリルの羅針盤」

 一人芝居として、ここまで表現し感動させる力に感服。
ファンタジー世界は相変わらず好み。
 池袋の大賞がとれたのも納得はいきます。
賞については思うところもありますが、作品として完成度の
高さに毎回驚かされます。
 2015年も再演されますので、観てない方はぜひ観てください。







第6位 TOKYO PLAYERS COLLECTIONライトアイプロデュース「IN HER THIRTIES」

 女性の年代によって、結婚したか結婚しなかったで
2作品作りあげていました。
 特に女性の方にはぐっとくるところがあったのではと
思います。役者の皆さんの等身大さが出ていて、
そこに胸がふるえました。








第5位 浮遊許可証「リーンカーネーション・ティーパーティー」

 坂本さんの創る世界観が基本的に好みで、
現実感がしっかり描かれていると解釈しています。
 リーンカーネーションという響きとそれに合った
物語が印象深い作品です。
 2015年は10周年記念最終公演があります。
誰かと一緒に観て感想を言い合いたい作品ですので、
ぜひ観た後、一緒に語りましょう。






第4位 梅棒「ウチの親父が最強」(2回)

 面白いという噂を聞きつけ、観に行き
見事にリピートしてしまいました。
 元々ダンスやJ-POPが好きな事も
ありますが、見事な構成力だったと思います。





第3位 劇団競泳水着「別れても好きな人 2014」

 再演作品ということなのですが、
30年間の男と女の物語を個性豊かな
登場人物が見事に描かれていました。
過去と今がシンクロするシーンに涙腺崩壊。
 ひねくれた演劇や暗い演劇を観てきて
疲れていた私に純粋な作品を届けてくれました。
 役者のみなさんもここに生きている人たちのように
映って共感MAXに至りました。





第2位 匿名劇壇「ポリアモリー・ラブ・アンド・コメディ」

 平日公演だけでしたが、何で1回しか
観に行けないんだと終演後、悔やんだほどに
第3位とは違う毒の効いた男女の共同生活が
描かれていて、鳥肌が何度も出ました。
 (鳥肌は、私がひきつけられた時によく出ます)
 私が観た2014年の関西小劇場で一番の
作品です。終演後、話したこともない役者の
みなさんに本当に良かったと思わず
言いまくってしまって、さぞ驚かれたことだろうと思います。




第1位 カムヰヤッセン「新説・とりかへばや物語」

 2014年、ずっと1位の作品でした。
 演劇とは魅せるもの、その世界観にはまらせて
さも自分もその一員に入っているかのような感覚。
ウィングフィールドという2時間も座らされた日には
腹が立つのに、二時間余りお尻の痛みも忘れて没頭。
 役者も物語もそこで生きて私の胸に残り続ける。
あぁこういう演劇が観たかったんだ、
と今でも思い出したかのようにDVDを
見直してしまう程の作品です。

2014年演劇をふり返る

2014年の観劇数は114作品でした。
2013年は正確に数えていないのですが、その倍は観たかと思います。
というのも、2014年8月に役者として呼んでいただいて、数が減ったことと
10月からムーンビームマシンのサポートスタッフに関わらせていただいたことで
観劇数が減ったものと思います。
私としては、物足りないくらいでしたが、ちょうど良かったかと思います。

2014年1月~2014年12月まで観た演劇
※同じ作品を2度3度と観た事は数に含んでいません。
 また同じ作品でも場所が変わった作品は含みます。

はじめに

こんにちは。梅田純平と言います。
観劇が好きで、twitter(@YELL_JUN)で感想等を呟いているのですが、
観劇数が多すぎてふりかえりが大変になったことと、
記録を残しておきたい(主に自分のため)ためにブログを始めることとしました。
「書いていることはあくまで私が思ったことや感じたことで、
間違った解釈もあるやもしれません。ご了承ください」
と、書いておけば誰にも責められないかとリスクを回避しようとしています。
参考にしてもらえればいいかもしれませんが、参考になるやも分かりません。
少なくとも、演劇は私を幸せにも悲しみにも自分とも向き合う機会を提供してくれました。
演劇に関わる全ての人に感謝を忘れないよう記録としてメモします。
2015年1月1日