2015年5月31日日曜日

069 小永井コーキのドンドコドコドコ

この日最後の観劇で本当に良かった。感想を書けと言われても小永井コーキを知らなければ、初見ではとても無理。まぁ初見ではありませんし、小永井コーキが好きですから、感想も書けるのですが。

ほぼ全編、何が起こっているのだ、何を待たされているのだ、何をしているんだ、と心の中で突っ込みまくり。

一人芝居に対するアンチテーゼかのような振る舞いに小永井コーキたるやを感じた。やたらと生々しい歌を歌ったり、動かせもしない山を動かそうとしたり、肉を焼く姿を観たり、最終的には球を投げる。

小永井コーキ自体の人柄が色濃く出ている。人の良さと言うか、ダメなとこというか、こんなに楽に観れるお芝居もそうはない。肩の力を抜いて、面白いとか面白くないとか関係なく楽しんでしまえと思わせてくれるし、実際そうなった。

面白い男ですよ、小永井コーキ。

068 ウサギプロジェクト「レ・ミゼラブルーシチュエーションコンサートスタイルLIVE」

久しぶりのミュージカル。歌の力をというものに感動をした。もちろんレミゼなので、物語はどんなものかは分かっている。きっと分からない人には何が起きてこうなったのか、いまいちピンとは来なかったかもしれない。ほぼ全編、音楽・歌で物語が進行していくので、無理やりのところもちらほら。歌詞が聞こえずらかったら終わり。

面白いなと思ったのは、全編音楽のため、ひとつに歌のうまさ良し悪しで伝わり方が変わってしまうのだなぁと言う点と演技ができなくても歌えればごまかしがきいてしまうのだなぁといった点。
もちろん演技力もいるんだろうけど、演技も歌がくってしまうから目立たない。

レミゼは非常に観ていて面白いので、楽しみ方や目線が違っていて、自分としては満足のいく3時間であった。

067 劇団子「トウキョウの家族」

東京から2年半ぶりの舞台。観るのは初めて。タイトルの通り家族がテーマ。廃れた旅館の雰囲気が凝っていた。家族ものに弱いのですが、分かりやすい話に先が読めて泣くまでには至らず。

3姉妹とその旦那や訳アリの男とずっと地元に住む男、町会議員の男、おばあちゃん。一枚の写真に吸い寄せられた劇作家、それを追ってきた劇団員。おばあちゃんは大分とぼけてしまっている。ドタバタな出来事を主軸に置きながら、家族のきずなを取り戻せるのか、長女と次女の確執を取り除けるのか、そういった物語。

映画のサマーウォーズって知っているのかどうかは分かりませんが、おばあちゃん役の方のおばあちゃんぷりが非常に似ていて、それを観れたのが個人的には面白かった。
そう、サマーウォーズを超えることはなかったのです。私の中では。2時間は少し長い。

2015年5月27日水曜日

066 無名劇団「無名稿 あまがさ」

今年の1月になんて面白くない芝居をする劇団だと期待せずに今年2度目の観劇。1月の感想はこちら。
http://kangeki1501.blogspot.jp/2015/01/blog-post_11.html

まるで生まれ変わったかのような変貌ぶりにまずはびっくりしました。これ面白いのんちゃうの?おぉ面白い演劇のパターンや(あくまで私的ポイント)。

川端康成の小説をもとに描かれていく真実とは何か、今現在の自分たちを取り巻く世界がどんなものなのか、考えさせられる作りになっています。

その構成の良さは、川端康成の言葉の力が強いことで作品が引き締まり、言葉に出すことで美しい言葉たちに魅了され、オノマトペが空間をうまくつかみ、作品として成立させていました。

役者自体がうまかったのかと言えば、そうというわけでもないのですが、きっと気持ちの入れようが上手い下手を補う役目になっていかのように思います。

物語は最終的に真実なんて、と崩してバラシていくのですが、そこも演劇的なみせかたをしていて交換を持ちました。主観的な存在と客観的な存在が舞台に常にいたことも面白かったと思います。

長くやられている劇団だとは思いますが、原点回帰の作品なのではないでしょうか。ほんと、1月との比べて観れたら別の劇団だと思います。できれば劇団員だけで公演をうってでて、しっかり若い俳優に力がついている姿を拝見したいと思いました。良作です。(少し褒めすぎ感があります)

065 匿名劇壇「悪い癖」

1人の女性を主軸に据えて、頭の中をのぞき込むかのような演劇。メタフィクションを武器に関西小劇場界でも人気の高い、もしくは注目されている劇団の作品です。

おそらく若手と言われる劇団の中では一歩抜きんでているなという印象をもちます。今の若者像といいますか表現の仕方がえげつないとも思いますし、それが魅力的でもあります。

だらしのない女性(おそらく精神病)の頭の中に存在するキャラクターが彼女をひも解いていき、最終的に彼女そのものをつぶしてしまいます。怖い話です。怖い話なのに笑ったり、悲しくなったり、どこか客観的にどこか俯瞰的に物事や果ては自分自身をみてしまう。

どこか冷めている、どこか他人事、どこか狂っている、どこか幸せを感じている、それらを主観ではなく客観的に描くことで演劇足らしめているのではないか。

面白いなぁと思うのは、これが分からないところが多く出てくるのに気持ちよく見れてしまう気持ち悪さ。勝手な解釈を観てる側に提供してくる怖さ。で、お前はどうなん?と突きつけられる良作でした。

2015年5月21日木曜日

064 劇団子供鉅人「組みしだかれてツインテール」

おバカを突き抜けて呆れてしまう作品。妄想彼氏の存在は面白かった。あとはくだらないことを本気でやりきる役者がまぶしかった。

妙な身内感があるのには最初から引いてしまっていた。絶対笑えなくなるなと思いながらの観劇。10分おしは謝ってくれたから自分の中では処理しておくが、ありえない。トイレ行かせすぎ。

話はくだらないので特筆すべきことはないが、女子高に通う学生たちそれぞれに妄想彼氏がいて、それぞれに見えるように具現化されてしまうところや、行き過ぎたSEX描写はそこまでやってくれたら突き抜けてしまうので受け入れられた。力押しで押し切る強さはありだなと最終的に思ったので、いいとは思う。あとは好みの問題。

063 笑の内閣「名誉男性鈴子」

選挙を舞台にいわゆる男的考え方を主張する女性立候補者を描いた作品。相変わらずこの手のテーマを取り上げるところにうまさがあると思う。非実在少女ノルテちゃん?だったろうか、そちらのほうが面白かったのだが。

女性のためのと叫びながら、公約とはかけ離れた女性議員は実在しそう。実際そんなもんかもしれない。こうあるべきだというべきだ論と男はこうで女はこうという決めつけ。できればもっとぶっ飛んでほしいということを観劇後、思いました。

笑うに笑えないネタが自分としては多くて、多くの問題を提示してくれているとは思う。親のいない子供がどうのとか、セクハラ元市長や利害関係を考える応援団長、議員になることが女性の社会進出の方法と固執した考え方。生き方ぐらい好きにしたらいいのに。それでは作品にはならないか。

バイアスのかかった問題を問題として取り上げ、喧嘩を売る作品は好きだ。