2015年2月27日金曜日

025 劇団サニー「みるきーはわかってくれない」

2014年8月に森林浴で共演(といっても、絡みはほぼない)した玉澤千歩さんが率いる劇団サニー。
こっそり稽古場にもお邪魔していましたが、その時から何を創っているのだと思っていました。

ゴミばかり拾って何かを見つけては嬉しそうな女の子。それに現実を突きつけようとする女の子。これからどうしようかと悩む女の子。人とうまく関係を作れない女の子?(おばちゃん)。空気でできた女の子。女の子だらけの物語。

全部一人の頭の中で行われている話なのではないかと途中から思い出してから抜け出せずに観てしまっていた。
ドアという存在が閉鎖された空間で起きていることだと思わされたし、開いては閉まりを繰り返すことが、まるで異質なものが登場してくるかのような息詰まり。

それぞれに思い悩む女の子が、妙にふれあい関係をもつ。唯一、絡みの少ないのが現実を突きつける女の子。最終的には自らこの世界に私は必要ないと去っていく。

時々出てくる男性像がまた大切な存在のようで疎ましい存在のようで、僕からすれば腐った男であった。ゴミでしかない。そのゴミをあさる女の子は何を探しているのだろうか。

ゴミの存在感たるや、捨てたもの、捨てられたもの、捨てなくてはいけなかったもの、捨てて拾ったもの、臭いと言って消えていく空気の女の子。

もう一人絡みの少ない女の子(おばちゃん)は、諭すように現実を突きつける。気づいたときには遅いんだよ。

素直な私も汚れた私も現実の私も一人だけの私。
これは希望の物語なんだと思う。
閉塞感の漂う中をもがき苦しみ、それでも生きる一人の女の子の物語。

2015年2月26日木曜日

024 Quiet.Quiet「赤色エレジー」

1970年代始めの過激派左翼運動にかかわる若者の物語。
優しさの中にナイフを隠し持って、現代の自分を持てない若者像を浮き彫りにしているかのような悲しく腹が立つ創り方になっている。

年数が舞台上に映し出されるのですが、正面2列目からも見えないので、キョロキョロしてしまいました。こるのはいいが、客には優しくない。サイド席の人は見れたのでしょうか。「見えない」ストレスは嫌いです。

僕自身生まれていない時代なので、内ゲバといった暴力的な行為をしていたことはリアルには知りえない。

腹の立つほどの情けない男を佐々木誠(匿名劇壇)さんが実に情けなく滑稽に演じ切っているのは得意技のようにも思えてきた。
呉城久美(悪い芝居)さんのどこか色気のある女は魅力的に映る。
僕の中ではこの二人の物語だ。

物語は淡々と進んでいくのだけれど、最後に出てくるパーティーガールが他人事のように三人(もう一人運動に暑苦しい男がいる)を馬鹿にする。何を馬鹿にすることができるのだろうか。自分の胸に手をあてて、自分のしてきたことを考えてみろと言いたいばかりに怒りが込み上げてきた。

今を生きる若者を誰が馬鹿にできるのか、必死に生きようともがく人を笑う権利がやつらにあるのか。このお芝居を観て、強く思うところです。

023 Creative Group パプリカ「偽りのシンドラー」

杉原千畝を題材にしたストレートなお芝居でした。
名作「シンドラーのリスト」を思い出しながらの観劇。
よく言えば丁寧な、悪く言えば波風の立たない物語。

ダブルキャストを採用していたみたいなので、もう一つのほうと見比べることはできなかったのですが、若さが前面にどうしても出てしまっているので、自分たちより齢が10歳ほど上をいってしまう演技は難しかったのではないでしょうか。

他の演劇でもそうですが、思ってしまうのはチラシの踊り文句のほうがよっぽど面白くとれてしまうことがある。この作品もその一つだと思います。

修羅場ほどの修羅場は感じず、父と娘の家族との距離感はそれほど近寄らずでした。
杉原千畝への敬意というのでしょうか、愛は感じられたような気もします。

気になってしまったのは、音響のミス。単純ミスもありましたし、タイミングが悪いもあり、あぁお芝居なんだなとのめり込むことをストップさせてしまいました。残念。

2015年2月23日月曜日

022 THE 2VS2「大阪24区」

第24回公演で「大阪24区」となるとは、偶然が素晴らしい。

チャレンジングなコント集で楽しめた。
リバーシブルという結局エロイ作品なのだが、セリフを逆回転させて成立させるという面白さには舌を巻いた。
どんな題材もコントにしてしまう姿勢にも関心するし、なにより役者が本気なのがとても好感をもてる。

僕らこんなんできますけど、いかがですか?という6つの作品が気持ちの良い笑いとなっていて期待に応えてくれる。基本的に笑いに厳しいと思っている自分が面白い笑えた!となっているので、2VS2の舞台はまた観たいと思う。

作品とは関係がないが、宣伝がいつもうまくいっていないのではないかと心配になるし、借金の話なんか聞いた日には、せめてもうちょっと宣伝に力を入れるなり、なんか方策を立てればいいのにと勝手に思ってしまう。

良作を生み出す力とそこは比例しないものなのだろうか。
借金を増やし続ける劇団THE 2VS2、今後に期待したいし、どうぞ借金で首が回らなくなって解散になったとしても解散公演をうってでてもらい、タブー視される題材にメスを入れて去っていってほしい。

021 劇団ズッキュン娘「グッバイマザー」

親子の関係を明るく元気に描いた作品。母と娘、取り巻く女子高生たちと先生。お母さんとはどんな存在でしょうか。

DNAが引き継がれているから似るということが何度か出てくるのですが、僕は似るのは顔や体系だろうと思っていて、性格は影響されてしまうから似るのだと思っています。

お話自体はドッタンバッタンの直球勝負。別の舞台で観たことのある役者さんが何人かいらっしゃり、若い人たちの勢いで楽しんだという感想です。

舞台と客席がやたらと近い位置ですので、正直目のやり場に困る。それでも真っ直ぐ向き合って芝居されているので、ここは覚悟して観ようと途中からなりました。

女子高生であっても何歳であっても親から見れば子どもは子ども。関係性は変わりませんし、深くもなるし浅くもなるかもしれない。それでも母親は母親で、自分がここにいるのは親がいるからだなぁと自分の母親を思ったのでした。

020 「大大阪舞台博覧会(2/21)」

6つの劇団やユニットが15分作品を提供してくれる博覧会。こういう機会はそれほどないのでお得感があることと、これまで観れる機会がなかったところと出会えるのが嬉しい。
少し長くなるかと思われますが、一つ一つ感想を。

■ユリイカ百貨店+サギノモリラボ「BALLOON」
風船運びと興味をもった女の子?、風船運びのボス(声のみ)がパフォーマンス仕立てでファンタジーな世界を創りあげていました。音や明かりを楽しませてくれるのと、パドーマンスがしっかりしていて見飽きることがありませんでした。
風船も綺麗な道具となって視覚的にも楽しめる作品です。風船で遊びたくなる気持ちにさせてくれました。

■笑の内閣「和民殺人事件」
笑の内閣は何度か舞台では観ています。時事ネタが売りの演劇ですね。タイトルを聞けば、おのずと内容が分かるのでいいのですが、あの速さで滑舌が悪いと何を言っているのか気持ちしか入ってこないという状況で何に笑っているかといえば自分の知っているブラックな想像で笑えているのでしょう。相変わらず時事ネタの扱いは面白くても演技は下手だと思いました。演劇というより討論会に向いているのでしょう。

■森林浴「カニのあし」
森林浴は私が2014年8月に出演させていただいたユニットで、「カニのあし」は出演しておりませんでしたが、けいこ場によくお邪魔して観させてもらっていました。そのリメイク版といったところ。
もともと気持ちの悪いやり取りが続くし、存在感が異質なキャラクター達ですので、解釈の仕方が人によって変わるところに面白さがあるのだと思います。
登場してくる母親と娘、幻覚のような軍服を着た男。白線を引いて「この空間」で起きていることですと言っているかのように感じます。これは誰かの頭の中なのか。
色、物質、食、肌感、母と娘のすれ違う会話が病的で気持ちが悪い(褒めています)。軍服来た男が嫌なタイミングでかかわってくる気持ち悪さ(褒めています)。僕は人が好きで嫌いになりそうです。

■かのうとおっさん「かのうとおっさんコント傑作選」
すごい金持ちの洗脳技術をもった中学生田中君と変な友達のかみ合っているのか分からないコント。この作品を観るのは二回目。知っているだけに前の時のほうが音のタイミングあっていたなぁと思いながらの観劇。笑いを待つのが苦しい。もっとアドリブをきかした作品に仕上げてくれれば面白いのにな。設定は厨二病みたいで、安っぽいB級映画のようで面白い。

■南河内番外一座「ヤング」『父帰る』
観た順番通りに書いているのですが、ここで私の頭は眠たさピークに達しました。グルグルグルグル舞台を走っている人たち。物語急に始まります。出ていった父が帰ってきた、さぁ家族それぞれの気持ちの距離ができているぞ。さて、どうする。そんな話。実に演劇的だったとも思います。中盤不覚にも記憶が飛んでしまっていて、間違っているやもしれません。南河内万歳一座は一度観たいとおもっていたので、その参考になる作品なのだろうか。番外だしヤングって書いているから、また全然違うものだろうか。今回の作品であれば、僕は次回何かいい機会がない限り観に行かないと思います。

■無名劇団「無名稿 あまがさ」
6団体最後の劇団。オノマトペを使用し雨の音などを表現していました。6劇団の中でうまく世界観を創りだしていたのではないでしょうか。おそらく他の観客の評価も高い作品だったと思います。若い男と女の心中物語をあらすじを語るかのようにみせきった。無名劇団の前回作品を観ていたので、その時の作品よりも面白かったと思います。棒読みであったり世界観をいかせないなぁ、なんとかならんものかと思うこともあるのですが、よくできた作品だったと思います。いくつかのことを差っ引いて次回作品に期待したいと思いました(今作品は應典院で開催されるスペドラの前哨戦らしいです)。

019 カミシバイ「だいたい源氏物語」

期待を大きくせずに臨むことに決めた道頓堀学生演劇祭。
これが中々に面白かったです。メタを多用するので混乱を招きますが、そこは観る人が感覚で好きなように解釈したれと思う。

源氏物語自体はそれほど分かっていないのですが、とにかくもてる男が女を次から次へと口説いていくというイメージ。

このお芝居の中で登場するヒカルはどちらかというと理想の女性(子ども扱いしてくれる)を追いかけている感じでイケメンな様子は無い。

タイトル通りだいたい源氏物語を下敷きに登場人物たちが描く「好き」の意味・意義を問いながら、演劇なのか映画なのか現実なのかをメタで繰り返し表現されていく。第3章だったかと思いますが、一番観客がダレル時間帯に音・照明・役者で盛り上げるシーンは楽しめた。その分、メタを多用する後半は疲れたのでした。

役者さん自体がどうこうはないのですが、本と演出が面白いのでしょうね。魅せきってくれたと思います。学生演劇でよくある内輪受けもありませんでしたし、それだけ世界観がしっかりしていて観ているほうものめり込んだ作品と言えるのだと思います。次回があれば、僕は観に行きます。

018 「地球戦士ゼロス~光と闇のクロスロード~」

知らなんだ。こんなご当地ヒーローがいたなんて。
観終わって、パンフレット見て、分かったわ。
環境破壊を許さないのね。
そんな自己紹介もあったかと思うけど、ストーリーには関係なかったような、気がする。

ヒーローショーのデラックス版です。ストーリーが大人より。時間の止まった世界に飛ばされたゼロスが、その世界のもう一人のゼロスに出会う。時間が止まっているせいで本来の力が出せないゼロス!さぁどうする!!!

演技上手な役者さんが中心に繰り広げてくれるため、安心感を持って観劇。久しぶりに客演でハッスルしている小永井さん(彗星マジック)が素敵でした。
米山さん(彗星マジック)は相変わらず幸薄な役で。。。

殺陣が非常に見ごたえがあって、よくできている。さすがヒーローショーから来ているだけあるなぁと思っていましたが、おそらくお芝居用に作られているところもあるんだろう。

安心して観れることが何よりでしたし、普段会わない層のお客さんが新鮮で良かったです。お芝居の空気感できてましたし。終了後のチェキ撮影には、さすがヒーローだと思いました。

2015年2月18日水曜日

017 遊劇者chiko「ランナー」

高校野球、甲子園を目指す若者たちの物語。ドストレートな展開に140分の大作。
長い。ただただ長い。学生の身内感たっぷりの中の観劇であった。

前々回のものになるのだろうか、2回目の観劇。

物語は感動的な青春ものでそれでいいとは思う。
それでいいんだが、140分になった理由がわからない。
140分観ておいてあれだが、印象に残るものが最初と最後の
合唱シーンだけとは。それ以外はいらないものなのか。

場面転換のあり方が雑すぎるというのか、それ以外
思いつかなかったのかというのか、多すぎて物語に深みが増さない。
いちいちこちらの気持ちを途切れさせる。

これは映画のような展開だった。映画のほうがまだましだ。
舞台は変わるし、時間軸だって服装も変えることができる。

舞台でそれをするためには仕掛けが必要で、
役者が引っ込んでは、違う役者が出てきて「はい、次はこの二人の話」と
されてもあっちこっち行き過ぎて、途切れる気持ちをどうしてくれるのだ。

と言いながらも、前回よりは面白くなっている。
この年代の人がやってリアルに見せれるもの(年寄りがやるとコメディになる)。
どんどんいろんな引き出しを開けて、いろんなことを吸収して、
次もやってほしい。あきらめずに観る。

016 浮遊許可証「君はあかつきの星」(2回)

10周年企画の大詰め!ということで、豪華な役者に彩られた舞台。
まずは舞台美術がお見事でした。奥行きのある見せ方、灯篭というのでしょうか
段がついていて奥からやってくる時の見え方は興奮しました。

星たちの物語だと2回観て僕は解釈しました。
恋をテーマに「生きる」ことや「背負う」こと、
光り輝く星たちが残してきたものを思う物語でした。

今まで浮遊許可証の舞台をいくつか観させてもらった中でも
割とシンプルなお話のようにも思いましたし、
「恋」というものの受け取り方が僕はあまかったようにも思います。
「恋」=「生」とは結び付きにくかったのです。

それでも、もうとっくに死んじまった星だってある、昔むかしの光の名残、
ここで観た人やものたちは、もうとっくにいない。それでも輝いている。
光を届けてくれている。地球だって古道具。
なんて素敵な言葉でしょうか。
今ここに僕がいることの奇跡を感じました。
生きていていいんだ、と思わせてくれました。

生きるもの、死んだもの、死にきれないもの、
生ききれないもの、それぞれの物語が胸に残る。

2015年2月13日金曜日

015 フルーツケイク「俺たちはオモチャじゃない」

旗揚げ公演以来といっても3回目の公演なんですね。
とにかく出てくる3人が愛すべきキャラクターで
暴れまくっている印象です。

今回の作品では、
おもちゃの3人がジェニーという女の子に遊んで欲しくて、
あれやこれやと繰り広げていく展開でした。

45分位と短かったのですが、丁度いいような30分でもいいような
気もしながら観ていました。
なぜかというと、こちらの気持ちが持たなくなっていました。
気持ちというか、何でしょうか、飽きてしまったのです。

もう一声というのが僕の正直なところです。
おもちゃのキャラ立てが最初に分かってしまい
(これは予定通りだと思います)、
それ以上深みが増していかない。
設定は単純であるだけに、キャラの爆発力に期待していたのですが。

申し訳ないのですが、途中眠たくなって、気づいたら終わりでした。
役者さんそれぞれうまいのだから勿体ない。

次があるなら、ゆるさと真剣さの差をしっかりとつけてほしい
(もっとです)と思います。

2015年2月10日火曜日

014 火曜日のゲキジョウ オパンポン創造社「大巨人とスタンドバイミー」

スタンドバイミーとは、よくいったもんで、
まさしくだなぁと思いますし、男っぽい作品だと思います。

例えば大巨人はいて欲しい、こんな踊りで来てほしいし、
母親は一緒に冒険してほしい、あの頃僕らはこうあって欲しい
という願望が池から顔を出してくる作品。

宇宙人でも未来人でもきっとなんでもいいんです。
夢のくだりがありましたが、全部夢でもいいのかもしれない。

テンポのいい二人の掛け合いが素敵です。
笑と涙の魅せ方はまさにオパンポン創造社のもので、
得意分野と言いますか、これです俺ら!みたいに魅せてくれる。

夢見る男ってどうですか?女の人は馬鹿いってんじゃないの、とか
疲れきった僕のような男は「大巨人なんているはずないやん」と
兄に弟が言うように観てしまっているかもしれない。

あの頃に戻りたいけど、戻れない。
ほんとスタンドバイミーとは、よくいったもんだ、の作品です。

014 火曜日のゲキジョウ お笑いサタケ道場「野試合ガール」

in→dependent theatreがプロデュースする火曜日のゲキジョウ。
30分×30分の劇団対バン形式(一部違います)。
僕の中では、私たちこんなお芝居やっていますよぉ~という団体紹介と捉えている。
お試しでいかがですか、面白かったら、本公演も来てください、みたいな。

個人的事情ですが、火曜日は夜に会議が入ることも多くなかなか観に行けない。。。

お芝居を観た回数をカウントしているのですが、火曜日のゲキジョウは1カウントとします。

お笑いサタケ道場のお芝居は本公演を観た事がありません。
昨年の一人芝居トライアルで佐竹さんがチャレンジしたものを観て、
かなり厳しいコメントをしたと思います。

今回の「野試合ガール」は、まさにこんなんやってますという自己紹介。
テンポにしても間にしても笑いにしても、もう少し何とかならないのか。
30分でキャラクターを理解してもらって、笑いにもっていけないものなのか。

戦国武将の名前をもじっているのだから、そのネタは後半に効いてくるはずなのに
1回くらいしかでてこない。設定は悪くないとは思いつつ、爆発的になれないのは
本のチカラでしょうか。あぁもったいない。何とも書きようが難しい。

2015年2月9日月曜日

013 才木典泰ひとり芝居「タイムマシン」

時代が人が生まれ死んで、また生まれ死んでいく。
過去とは未来とは現在とはなんなのだろうか。

タイムマシンというタイトルで、過去に戻ったり、未来に行ったりの
物語だと思ったら大間違いであった。そして、胸をうつ芝居でした。

人が生きて死に、時代を紡ぎ、巡り巡る。
ここにいる私という存在は、多くの過去の私という存在があって、
現在に至っている。そしてそれは私が死んでも未来に紡がれていく
物語であってほしい。
主役は僕であり、あなたである。

上質なひとり芝居でありました。
ひとり芝居とは本当に怖いものだと個人的には思います。
誰も助けてくれないし、嫌でも自分というものが出てしまう。
観客は「あなた」しか頼るものがいない状況で観る。
私はここにいると証明できる人の演じるひとり芝居が面白いと思う。

この時期に、この作品に出会えたことを感謝します。

2015年2月8日日曜日

012 伏兵コード「我が行路」

よくもまぁ、このテーマで作品ができたものだと
感心し、感嘆し、胸が痛くなり、言葉にできない気持ちを
させてくれるものだ。

伏兵コードは以前から大好きな劇団です。(劇団かどうか分かりませんが)
とにかく暗い、テーマが重たい、あっけにとられる。
説明のしにくい気持ちになり、心が揺さぶられます。
そして感動してしまいます。(ここでいう感動は、おそらく感じて動くが主)

我が行路と銘打った芝居、私の世渡りというのでしょうか。
居場所があるのに気付かない人、居場所をなくした人、
居場所がなんなのか分からない人、そこが居場所でいいのか迷う人、
場というものは人にとって、何なのでしょうか。

私はここに生きている。では死んだ人の居場所はどこだろう。
私たちには辛くても悲しくても生き続ける責任がある。
僕自身は、それを強く思っている傾向にあるのですが、
そうした時に生きる場というものは、何だろうか。

外圧から守ってくれる人が場所になるのか、
家という場所が自分を守ってくれるのだろうか。
考えてしまう。自分探しと居場所探しの繰り返しに
きっと答えがあるだろうとさまよっている。
答えなんてないのかもしれない、それでも希望はある。
絶望の中から希望を見出す。
当たり前を疑い、裏切りを受け止め、自分も他人も生きることを認める。
伏兵コードの作品を僕はそんな風に思っている。

閉塞感が漂う(漂っていると思わされている)時代に希望を見出したい。

011 劇団ショウダウン「マナナン・マクリルの羅針盤」

昨年、第26回池袋演劇祭大賞作品です。
失礼な話ですが、個人的にまさか大賞を取れるとは
思ってもいませんでした。

林さん演じる一人芝居はすべて網羅しており、
ものすごいエネルギーで演じていることは、
もちろん知っていましたし、魅力的な素晴らしい
役者さんだと昔から思っていましたが。

前置きが長くなりましたが、再演です。
一人芝居でエンタメといったら、これでしょう!
昨年観た時よりも臨場感と迫力が違うなというのが第一印象。
(ちなみに昨年の僕の観劇ベスト10入り作品です)
http://kangeki1501.blogspot.jp/2015/01/20141025.html

観ている人をのめり込ませる世界観。
これはナツメさんが書く本が秀逸なのだと思います。
エンタメ作品として起承転結のお手本になる作品です。
だから本を読んでも面白い。

これが舞台に、しかも一人芝居になるとなると、面白くないわけがない。
べた褒めしていますが、わがままを言うなら、一人芝居じゃないものも
観たいというのは、前から思ってました。
そして今年の夏にそれが叶うという展開。あぁ目が離せない。

2015年2月7日土曜日

010 かのうとおっさん「うっかり婚活スターウォーズ」

かのうとおっさん作品を観るのは何度目だろうか。
いわゆる本公演を観るのは4回目だと思う。
コントに定評がある劇団で、長編は毎回イマイチ。
今回も正直なところ、イマイチ。

他の作品でも書いていますが、笑いというのは本当にシビアで
笑わせるぞという作りに最初から引いてみてしまうダメな私です。
コントではない限り演劇の上での笑いは積み重ねから産まれる
キャラクターやストーリーの面白さであって、短いコントを積み重ねれれば
面白いかというとそうではない。本当に難しい。

今回のお話は、宇宙に出ました→結婚しないと悪いやつ倒せません→
5対5の婚活始まる→乱入者あり→別に結婚しなくていいこと判明→
ちゃんちゃん。そんな感じです。

畳み掛けるようなコントたちが面白いのかといえば、どうか。
役者の人のキャラを知っている人たちは笑っていても、
初見の人はどうだったのだろう。
本編終了後の若旦那さんの妄想劇場のほうが面白かったというのが
正直なところではあります。

2015年2月2日月曜日

009 遊劇舞台二月病「劣等”LINE」

いくつかのテーマが混在する。
「道徳(これがメイン?)」「罪悪感」「友達」「親子」「恋愛」
そのどれもに劣等でしょうか、線Lineが引かれている。
どこからどこまでがLineなのでしょうか。
そのテーマどれもに個人個人の線があるのだと思います。

二人の男女を中心に中学時代に起きた殺人事件をトピックにして、
久しぶりに開催された同窓会をきっかけに、あの頃の友達たちが
今どうしているのか、元気なのか、関係性は変わってしまっている中
物語が進行していく。

重たいテーマを描いている本は面白いと前作を観た時も思っていたのですが、
前作初日の印象は「声小さい・・・」だったので、千秋楽に観れてよかったのかもしれない。

時々照明が波を表すかのように濃く薄く切り替わるのが印象的でした。
前回から思ってはいたのですが、どうも転換の仕方が気になり、
暗転の使いたかが気になり、衣装のダレダレ感が気になるお芝居でした。
役者と本の力がないと集中して観れなくなってしまったでしょう。

厳しい話で言えば、全体としては本の力でもっていってて、
役者の力といっても、鈴音(寺井幸菜)さん、一人勝ちの印象は拭えないかな。
松原さん、、大地さんが安定を保ってくれているところはあります。

演技力・全体的なメリハリを利かせてくれると観やすくも深みも増すのではと思いました。
次はどんなテーマだろう。そこが楽しみであります。